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ことわざ雑考(3)

有為転変の世の習

今月のことわざは「有為転変(ういてんぺん)の世の習(ならい)」です。
「ことわざ・名言辞典」(創元社)

有為とは仏教的には「たえず生滅(しょうめつ)して無常なこと」を表しています。
生滅を繰り返す法則が「因縁」というものです。

因縁という法則のもとに、この世は常に移り変わっていくというのが、
「きまり」のようなものという意味です。あるいは移り変わっていく世であるから、
幸不幸にあまりとらわれないようにとも受け取れます。

ここでは、移り変わりの中に因縁という法則があることが、
とても大事になってきます。

因縁とは善いことをすれば、善い結果が現れ、
悪いことをすれば悪い結果が出てくる。
その繰り返しが、この世の習い、すなわち「きまり」なわけです。

この法則をよく知って、できれば善いことを積み重ね、善い結果を得て、
移り変わっていき、幸せの日々を送ることが大事になります。

子どもであったころの幸せ、青春を迎えるころや、
家庭を持ち家族のために働くころの幸せ、老いて身体の自由がきかなくなるころ。
この移り変わりのなかで、幸せを得ていく方法が、
この因縁という法則をどう活かすかにあります。

今年の1月ころ、長野県の上伊那で、
粗大ごみの中から9万円が見つかったという記事が新聞に載っていました。
クッションの隙間に隠すように、その9万円が押し込まれていたというのです。
どうもへそくりの可能性が高いというのです。

私もへそくりではありませんが、
昔読んだ本の中にから千円札がポロリと落ちてきて、
いつこの本の間に隠しておいたのだろうと思い出せないことがありました。

このへそくりのような9万円を上伊那の処理施設の職員のみなさんが、
遺失物として警察に届けず、懇親会に半分以上使ってしまったというのです。
誰も知らないお金なのでつい誘惑に勝てずに、使ってしまったのでしょう。

これは悪因悪果(あくいんあっか)で、やがて不幸の風に吹かれるのです。
移り変わりゆく世にあって、甘い誘惑に負けずに、
人として正しい生き方を心がけていくことが、幸せを得る方法でしょう。

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