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しきたり雑考(52)

さまざまな迷信(俗信)2

今月は7月に続き、「さまざまな迷信(俗信)2」
{『なぜ夜に爪を切ってはいけないのか』角川新書 北山哲著参考}
ということで考えていきます。

一つ目は「鏡をまたいではいけない」です。
鏡だけでなくて箒(ほうき)もそう言われます。

鏡をまたいではいけないということばかりでなく、
鏡を粗末にしてはいけないと小さいころから教えてもらっていました。
この鏡は神様がそこに降りてくる依り代として力があるのです。

神道では三種の神器といって、
「剣」(つるぎ)、「勾玉」(まがたま)、「鏡」があります。
これらは神が降臨される神体としての力があると言われ、
今でも大切に扱っています。

このお寺にも、そんな昔ながらの鏡があって、
畏れ敬い吉祥天の前に飾らせていただいています。

そんな尊いものをまたいで粗末にすれば、
神様を冒涜(ぼうとく)したと同じで、
不幸が起きるというのもうなずけます。

箒も、昔は稲からできる藁(わら)で作られていて
神聖なものであったようです。

2つ目は「噂されるとくしゃみが出る」です。
普通、1回なら誰かがほめていてくれるということ。
2回目が憎まれているとか、嫌な噂(うわさ)をたてている。
3回目が誰かに惚(ほ)れられているとか風をひいただとか、
そんなふうに呪術現象としてとらえています。

お墓にお参りするときには、くしゃみをしてはいけない
というのもありました。お墓でくしゃみをすると、
魂が抜け出てしまうというのです。

昔、知り合いの子がくしゃみをして死なないようにと、
尼さんが「くさめ」と唱えていたようで、
そのくさめを丁寧にいうと「休息万病」となります。
この意味は、さまざまな病気が止まるという意味で、
その「くさめ」が変化して「くしゃみ」となったとも言われています。
知り合いの子がくしゃみをすると魂が抜け出て、病にかかってしまう。
そんな状況を推測します。

3番目に「ミミズに小便をかけるとオチンチンがはれる」です。
筆者も昔聞いたことがあります。

ミミズはとても清潔好きと言われています。
一見すると、あまり気持ちのよいものではありまあせん。
しかし、田舎の農村部においては信仰の対象でもあったようです。
ミミズが地中を這(は)うことで、土が耕されるのです。
ミミズの多い田畑ほど良い土壌で、「田畑の神様」とも言われていたようです。
そんな尊い神様にも匹敵するミミズにオシッコかけてはいけないのです。

昔の人の神様を信じる信仰心から、
物を大切にする生き方に教えられるものがありますね。

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