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しきたり雑考(96)

河童にあう

今月は「河童にあう」についてお話しします。
{『現代民話考1 河童・天狗・神隠し』 松谷みよ子著 立風書房を参考}

河童の話はよく聞きますが、私は見たことはありません。 参考になる本の「河童にあう」の章で47人の方が、河童を見たと書いています。

田植えになると神が山から降りてくるとい信仰があって、
田植えの前に田に供え物をするという地方もあります。

河童についての伝承では、
河童が春の彼岸に山から川に下り、秋の彼岸に川から山に帰り、
冬の間は山に住むというものがあります。

田植えの頃になると、田の神が山から降りて来るという伝承と、
河童が山から川に下ってくるという伝承は、どこか似ているところがあります。

「ゲゲゲの鬼太郎」を描いた水木しげるさんが妖怪の世界を描いていますが、
河童も親しい水の世界の妖怪といえるかもしれません。

河童の特徴としては、
背に甲羅があって、ざんばら髪で頭に皿がのっている。
その皿に水がある間は力があって、
その皿に水がなければ力がなくなるともいいます。

河童は人間や馬のキモが好きで、鉄が嫌いで忌み、
仏飯(ぶっぱん)や人間の唾液が嫌いなそうです。
キュウリが好きとか嫌いとか。

私の住む伊那市の隣に箕輪町があります。そこでの話です。

明治の初年ごろといいます。
天竜川上流のある淵(ふち)で見かけた河童です。

4、5歳とおぼしき童子で、髪は地面にとどくほど長く、
全身、水にぬれてしずくがたれていた。

その河童がこちらを振り向いたと思うと、
ドブンという水音をたてて、天竜川の淵深く飛び込んでしまった。

こんな話です。

東京都江東区での話。
昭和49年の春、昼過ぎのこと。

博美さんという女性が小学校4年のとき、
従姉2人で川にかかる橋のもとにくると、
「このあたり危険」という札があって、河童の絵が描いてあった。

何気なく川面を見ると、底のほうから浮いてくるものがあった。
3人でよく目をこらして見ると、
何度見ても丸いお皿のまわりに毛のようなものがはえていて、
それが河童そっくりで、やがて見えなくなった。

後で大人に聞くと、そこは河童の名所だった。

こんな話です。

本当に河童がいるかもしれません。水木さんは見たのでしょうか。

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