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しきたり雑考(87)

禁忌2

今月は「禁忌、忌むべき禁じること2」についてお話しします。
{『日本迷信集』今野圓輔著 河出文庫を参考}

小さいころ確かに聞いたことがあります。
今の子はおそらく誰も知らないと思いますが。
それはミミズに小便をかけるとチンポがはれるとか曲がるというのです。
それを信じて、ミミズには、そんなことをしませんでした。

何故いけないのでしょう。
今野先生はこう書いています。
「どこにいるのか凡人にはわからない土中の神様の頭上に、
 うっかりけがれた行いをすれば、すなわち神の祟りが身に及んで
 曲がったり、はれたりという罰を加えるとかたく信じていた人びとの知識が、
 素朴な幼少年の体の生理変化を起こさせるものではあるまいか」と。

地鎮祭は、その土地の神様に儀式をして、ささげものし、
この土地に建物を建ててよいかを尋ね、お許しを得るために行うものです。
この儀式も、土地神様がいることを信じてのものです。

実際に神社などで小便をすると、どうなるでしょう。
以前、本にも書いたのですが、幼少の頃、あるおじさんが、
「神社の一番上の階段の真ん中にシッコをすると蛇が出るぞ」と教えてくれました。
興味本心で、その場所にシッコをしたのです。
そこに数分して戻ってくると、白い蛇がとぐろを巻いてこちらを見ています(本当です)。
驚きました。慌てて、その場を逃げてきたのです。罰はあたったか、です。

それから少したって、嫌な奴二人とその神社で喧嘩をしたのです。
相手の一人と闘っていると、もう一人が後ろから棒で頭を叩いたのです。
今思えば、叩いた方向が神社のお社の方からです。二人との喧嘩は勝ったのですが、
その後、頭を叩かれたところにコブができたのです。とても痒いので爪でかいていたら、
そこから膿が出て来てきたのです。

そこで親に病院へ連れていってもらい、
膿を取ってもらって、頭に包帯を巻いてもらいました。
後で母に聞くと、医師に「あなたは子どもを殺すつもりか」と言われたようで、
それほど重症だったのです。罰があたったのです。今でもその傷跡が頭にあります。

やはり畏れおおいところで汚れたことをすると、罰が当たるようです。
心して慎む礼節を教えてもらった体験でした。

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