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しきたり雑考(36)

氏神様

今月は「氏神様」についてお話し致します。
(関沢まゆみ説参考)

正月になると氏神様をお迎えするということで、
玄関に松飾りをしたり、注連縄(しめなわ)をはります。

松は氏神様が依り代として降りてこられる神聖な場になり、
注連縄は氏神様を迎えるために、家を清浄にする意味があるとされています。

ところで、その氏神様とは、いったいどんな神様なのでしょう。
柳田國男氏によれば、氏神様を三つの種類に分けたそうです。
ひとつが屋敷(やしき)を守る氏神様です。家を守る神様といえます。

仏教では亡くなって三と七のつく年に、怠らず供養を積み重ねると、
故人の御魂の汚れがすっかりとれて清浄になっていき、
三十三年で、和魂(にぎみたま)になるとされています。

和魂は神仏と同じ力を持ち、家を守る神様になります。
どうも、その方々が氏神様としての働きをしてくださるのかもしれません (杉田説)。

ですから、正月に迎える氏神様は先祖様として三十三年忌を過ぎ、
家を守ってくださる和魂としての先祖神(せんぞしん)といえます。

二つ目の氏神様は、一門を守る氏神様です。
一門というのは本家を中心とした同じ家族が、同一の氏神様をいただき、
社(やしろ)や祠(ほこら)を祭るのです。

本家と言われる古い家の庭に社や祠があります。
一門を守る神様を祀ってあるといえます。

ちなみに、お寺でも神様を祀っています。
護国寺では、神様のお名前は、
普光山祇大権現(ふこうざんぎだいごんげん)で、檀家様を守る神様です。
家を守る氏神様よりも、大きな力があるといえます。

三つ目の氏神様は村氏神(むらうじがみ)といって、村を守る神様です。
地区や村には神社があって、それぞれの季節に応じて祭りごとを営み、
村の人たちの信仰を集めています。

これらの氏神様はどんなお働きをしているのでしょう。
普通、ある神社にいけば商売繁盛が叶うとか、厄を祓ってくれるとか、
何か特別な目的があります。

しかし氏神様には、そんな特別な目的はないようです。
村祭りなどでは、春は五穀豊作を願って神様をお迎えし、
秋には稔りに感謝して収穫祭を行い神様にお礼をいい供えものします。

村の氏神様は地域に生活する人たちの生業(なりわい)を安定させ、
幸せに暮らせるようにと守っていただく神様といえます。

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