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仏事の心構え(107)

仏壇 6 お参りの仕方

今月は仏壇の6回目で、「お参りの仕方」についてお話いたします。

まず手を合わせる場所ですから、きれいにしておくことが大切です。

ほこりを払い、花を絶やさないよう注意しましょう。
新鮮な花を飾ったときには、心もすがすがしくなるものです。

お客さんが家に来ると思えば、部屋を掃除したり片づけをします。
それと同じように本尊様や先祖様を祭ってあるのですから、
その方々が来てくださると思い、きれいにしておくわけです。

仏壇の前に座って、手を合わせ、お経をおあげします。
そのときお願い事をすることもありましょう。

いつもご先祖様に「ああしてください」「こうしてください」「守ってください」などと、
こちらの欲求ばかりを訴えていると、先祖様も苦しい思いになります。

まずは以前にも書きましたが「本尊様、ご先祖様をお守りください」と祈ります。
できましたら、本尊様「私が善を積めるような人になれるよう、お導きください」とか
「家族のみんなが幸せで、人のお役にたてますよう、御本尊様、お守りください」と
祈ります。

祈る時には、ご先祖様に無理なお願いをしない方がよいのです。
できれば、その願いは御本尊様にお願いしましょう。

しかし願うためには、仏壇をきれいにし、自分の心も欲少なく、
きれいな気持ちで祈ることが大事になります。

もう亡くなってしまいましたが、遠藤実さんが書かれた「涙の川を渉るとき」
という本があります。

奥さんが亡くなったときに、閻魔様に書いた祈りの手紙が載っていました。

その手紙には、

閻魔様、どうぞ女房を極楽に行かせてください。

彼女は愚かな私のために、よく尽くしてくれて、
人を思いやるとてもいい人でした。

お地蔵さんや観音様の力で優しく導いてください。

どうぞいつも歌の流れる花の咲く春のような世界へ行かせてください。

という意味のことが書かれていました。

仏様に奥さんの成仏を祈っています。
こんな祈りの仕方がよいのです。

仏壇に向かい本尊様に慎ましい思いで、先祖様の幸せと、自らの幸せを祈りましょう。