ことわざ雑考(23)
ぬかを舐りて米に及ぶ
今月のことわざは「ぬかを舐りて米に及ぶ」です。
{『ことわざ・名言辞典』(創元社)を参考}
意味は、
「初めに少しぬかをなめる程度であったのですが、
だんだん高じてきて、お米にも及ぶようになるということで、
ささいな害がしだいに大きなものに及ぶこと」
です。
オランダのメアリー・メイプスドッジという人が
「銀のスケート」(岩波書店)という本の中で、
オランダのある堤防に穴があいていたので、
その穴をふさいだという少年の話があります。
偶然海水がもれている堤防を発見した少年は、
自分の手で一晩中その穴を防ぎ、堤防の決壊を止めて、
多くの人を救ったという話です。
創作のようですが、
オランダでは少年をたたえる像が複数立っているといいます。
小さな堤防の穴をふさいで大事に至らなかったというこのお話は、
今回のことわざでいえば、小さな害をさけて、
大きな害を未然に防いだということです。
こんな人もいます。
これは『万引き』(伊東ゆう・青弓社)という本に出ていた実話です。
このお話は少し長いので、まとめながら要点だけをお話しします。
2022年7月にレジ袋が有料化され、
この店ではその袋を使うと5円払わなくてはなりません。
ある高齢の女性がお店にあったレジ袋を一枚とって、
それをくしゃくしゃにして自分のバッグに隠しました。
この人あぶないと思った店員が尾行して、
バッグに入れたのを目撃したのです。
女性は刺身や豆腐などを買ってその袋に入れレジをすませました。
店員は店長に、レジ袋を女性が万引きしたことを報告すると、
店長はたった5円だけれど毎日やられては困るからと、
その女性にやわらかく店員が、
「レジ袋の代金をいただいていないのですが、
今回はいいですけれど・・・」
女性は
「はあ?これは家から持ってきた袋よ。
変な言いがかりをつけないでよ。店長を呼びなさい」
と大きな声で否認したのです。
そして警察を呼ぶことになって、
証拠を見せろという女性に、防犯カメラの映像を見せ、
実際にバッグに入れている姿を見た女性は
「ちょっと勘違いしたみたい」といって謝りません。
女性警官が説得して女性は謝ったのですが、
店長は「もう来ないでください」と。
(青弓社 伊東ゆう著 『万引き』)
そんな話です。
小さな罪や過ちを大きくしないためにも、
未然に防ぎ、大きくしないことです。
罪や過ちを犯したら正直にいけなかったと謝り、
誠意を尽くし、善なる生き方をすることです。
