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みにミニ法話

(290)「夢を描く」

ここでの夢は、将来、実現させたい願いをいいます。
夢幻のようにはかないことを意味しているのではありません。

小さい頃は「夢をもって生きなさい」とよく言われることがありました。
それが年を経て、還暦もすぎれば、何の夢をもてばいいのかと思ってしまいます。

しかし、60の手習いといって、
再度、新しいことに挑戦し取り組んでいく人もいます。
90才になってから習字を始めたり、俳句や短歌を志す人もいます。
夢は心を活性化させ、生きる力を与えてくれます。

人は空を飛びたいという夢をもって、
それに向かい努力して飛行機を作り、空を飛べるようになりました。

昔、手塚治が描いた「鉄腕アトム」という漫画がありました。
そこには高速道路や高いビルが描かれ、ロボットが話をし、空を飛び、
そして悪を打ち負かす、そんなシーンが何度も出てきました。

そんな夢を描いた漫画が現実化して、
今では高速道路ができ高いビルや、スカイツリーもできました。
次第にロボットもでき、話の出来るロボットも現れてきました。
みな将来をこうなりたいという夢からきています。

そのような大きな夢を抱くことも大切ですが、身近で小さな夢も大切です。
家族みんな笑顔で暮らせる、そんな夢も尊いものです。
そんな夢を実現させるために、相手を思う気持ちを深くしよう、笑顔で接しようと思う。
そんなあきらめない努力が、夢であった家族の幸せを作っていきます。

あるいは徳ある人になりたいという夢を持つことも尊いことです。
そんな夢を持つゆえに、徳とは何かという疑問を持ち、
その徳をどのように培っていったらよいのかという学びをするようになります。
その学びから得た知識を行動に移し、どの知識が徳に通じるかを感じ取りながら、
今度はそれを智慧に変えていくと、それが徳になっていくのだとわかるようになります。

生き生きとこの世を暮らす原点に、老いや若さに関係なく、
いつまでも「夢を描く」という思いが大切になります。
どうぞ、今年一年の夢を描き、その夢に向かって努力を積み重ねていってください。