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みにミニ法話

(277)「流れる月日の美しさ」

すでに12月です。
今年、幸せの出来事や失敗したこと、あるいは苦しさや悲しみなど、
さまざまな事ごとが思い返されます。

特に苦しいことなどは、思い出したくないこともありましょう。
悲しみも癒えないままの人もいるかもしれません。

しかし、過ぎてしまえば、みな尊い事ごとで、
自分自身を育てくださった尊い出来事ではないかと思います。

まず、過ぎ去った出来事の中に、感謝の雫を入れてみてください。
感謝の思いは光の思いで、ありがとうという言葉を添えるだけで、
そこに輝きが現われでてくるのです。
どんなことも、幸せを築き上げる力になるのだと思えてくるのです。

人は幸せにならなくてはなりません。
その1つが感謝の思いを高めることなのです。
感謝の思いで、この1年を振り返ってみると、
さまざまな出来事が美しい景色として流れていきます。

そんな場面を思い起こすとき、知らず幸せに包まれている自分を思うのです。
そして、そこに美しい月日の流れを、心から感じ取っていくことができます。

投書を読みます。
「新聞投書で夫しのぶ」という題で、45歳の女性の方のものです。

「新聞投書で夫しのぶ」

病気で昨年他界した夫の遺品を整理していて、
棚のファイルから新聞の切り抜きを見つけた。
5年前に「気流蘭」に掲載された私の投書だった。

夫が当時小学2年の娘と理科教室に参加し、
習ったメニューを私の誕生日に作ってくれたという内容だった。

少し照れながら、うれしそうに新聞を切り抜いていた夫が目に浮かんだ。
こんな幸せな日があったのだと思うと、涙が止まらなかった。
夫への感謝の気持ちをこうした形で表せて良かったと思った。

あの日のレシピは、夫が別のファイルにとじていたので、
家のどこかに保管してあるだろう。今度はそれを見つけてみよう。

いつになるかわからないけれど、
気持ちが落ち着いたら、娘と一緒にあの日のレシピを再現したい。

(読売新聞 平成27年9月28日付)

感謝と幸せは隣り合わせであることが分かります。
感謝の思いで1年を振りかえってみましょう。
そこに美しい月日の流れを見ることでしょう。

今年1年、つたない「みにミニ法話」のお話を聞いてくださってありがとうございました。
来年も良い年でありますように。