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みにミニ法話

(270)「感謝の力」

感謝することは、とても大切です。
家族や近しい人に対しても感謝するのは礼儀です。
この感謝は日本の文化として、和の心にも通じていく考え方です。

どちらかの国では、あまり感謝の言葉、
「ありがとう」を使わないそうです。
感謝はそう簡単に言ってはいけないという文化です。

ほんとうの友人は、
消しゴムを貸してもらうのに、黙って自分のもののように使ったり、
友人が持ってきたお弁当のおかずを平気でつまんで食べる。
これが真なる友情であり、近しい人の礼儀だと聞いたことがあります。

日本では考えられず、
そのようなことをしたら、おかしな人だと思われてしまいます。

以前、お寺の子供会で、勉強の時間、子供の勉強を見ているとき、
ある男の子が黙って、隣の子の筆箱から、消しゴムを使うのです。
そのとき、「お前なあ、人の物を借りる時には、貸してくださいって言うんだ」
と教えると、消しゴムを貸してもらった子が
「はい、消しゴムを貸してください」と言って借りました。

使い終えて、その子は黙って隣の子の筆箱に、消しゴムを返すのです。
そこで「お前なあ、借りて返すときには、ありがとうっていうんだ」。
そういうと、「ありがとうございました」というのです。

それを3回ほど繰り返して教えたのですが、
最後には上手にできるようになって、借りた子も貸してあげた子も、
そのありがとうの言葉で、なぜか心が和らぎ、
そこにあたたかな思いが流れたのです。

大人になると、心が少し固まってきて
「ありがとう」の言葉が言えなくなるものです。
「心では思っている。別に言葉に出さなくても」と、
そんな言い訳をする人がいますが、
それは本当に感謝の思いを分かってないのではないかと思います。

病気をして健康を害すれば、健康のありがたさを思い、
健康でいられることに、心からありがたいという思いになります。
病気で支えてくれた看護師や医師、あるいは家族の人にも、
感謝の思いが深まります。

深まれば、自然とありがとうの言葉が出てくるものです。
この言葉が、自分の心を穏やかにすると共に、
相手をも幸せの思いで包むのです。

感謝の力を使ってみてください。