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みにミニ法話

(266)「まず、思いがある」

奇妙な題ではありますが、大切な真理です。

何をするにも、まず思いがあります。
思いがあって、その思いに力を込め、言葉や行動に移していきます。

なかには思わず暴言を吐いたり、
思わず嫉妬したりと、そんな場合もありますが、
それは今までそんな人格を作ってきた思いにあります。

どんなときにも暴言を慎む、そんな思いをしっかり持っていれば、
知らずに暴言を言ってしまうことはありません。

普段何気なく思っていることが、相手を傷つけてしまうこともあります。
そういう言葉を言うはずはないと思っていても、
思いの中に、相手を批判したり、嫌うものがあれば、
知らずに言葉や行動にでてしまうのです。

ですから普段の思いを正し、善なるものにしておかなくてはならないわけです。

感謝もそうです。感謝の思いがなければ、
「ありがとう」の言葉もでてきません。
まず思いの中で、「私は支えられてある。ありがたいことだ」
と常々思っていれば、感謝の言葉や行動がでてきます。
そうでなくて、あたりまえに思っていれば、
そこには不平の言葉が出てきやすいのです。

こんな投書がありました。
81才になる男性の方の投書です。
「支えてくれた妻へ気持ち込め靴磨き」という題です。

「支えてくれた妻へ気持ち込め靴磨き」

東京五輪が開催された1964年、郊外に家を建てた。
通勤は往復約4時間かかり、朝6時に家を出て、
帰るのは早くて夜8時。深夜になることも度々だった。

帰宅がどんなに遅くても、妻は寝ないで待っていてくれた。
翌朝には朝食を用意し、きれいに磨いた靴をそろえ、見送ってくれた。
私が無事に定年まで勤めることができたのは、妻のお蔭だと思っている。

退職を機に、妻と一緒に散歩を始めた。
散歩から帰ると、妻の靴を磨く。
現役時代、妻が支えてくれたことへの感謝を込めながら。

妻との散歩を始めて20年たった。
結婚してから定年まで妻は私の靴を磨いてくれた
32年まで、あと12年だ。

どうか、それまで元気で一緒に散歩を続けられるようにと願っている。

(読売新聞 平成26年12月30日付)

妻への感謝が、靴を磨く行動に出ています。
何を思うかで、人生の姿が変わってくるのです。
今年一年、人として正しい思いを育てていきましょう。