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みにミニ法話

(249)「成仏と不成仏」

成仏という言葉は、人が亡くなったとき、
「この人は成仏した」とよく使われます。

これは、ちゃんと亡くなって後、
幸せの世界に帰ったという意味があります。
一方の不成仏といえば、死んでまだ、帰るところに帰っていないで、
あの世とこの世の境をさまよっている。

そして幽霊のように、生きている人に、
悪さをするといった意味があります。

死んで後のことで、この二つの言葉を考えていくと、
できれば死んで後に成仏したいと思うのは、誰しも考えることです。
この成仏は仏に成ると書きますから、
仏と同じような生き方をすれば成仏できると考えられます。

『華厳経』というお経の中に「破地獄偈」(はじごくげ)という、
地獄を破り抜けだして、天に昇っていくという詩がでてきます。

ある人がこの世で悪い事をして、地獄に堕ちました。
しかし生前、仏を信じる心があったので
天から一つの詩が聞こえてきたのです。
その詩を受けとめ、自分のものにして、
この人は仏の国へ昇っていくことができたという、そんなお話です。

この詩を要約すれば
「仏を知ろうと思えば、一切は心の現れだから、
 心を仏の心に染めれば、すべてをのことを、
 仏と同じように見ることができる」
と言った意味の詩です。

この男はそこで、仏の心とは何かを思い、生前の悪い思いを反省し、
心素直に、優しく、思いやり深く、自分の心を仏の心に変えていったのです。
すると、今まで暗い洞窟のような世界が、明るい緑の木々と花の咲く、
世界に変わり、仏の世界に入ることができたわけです。

成仏というのは、生前から仏の心とはどんな心かを問い尋ね、
その心を自分の心と重ね合わせ、多くの時間、
仏の思いに心を染めることが必要なわけです。

そんな生き方をして、この世の使命を終え、
あの世に帰ったとき、成仏できる、
すなわち仏の世界に昇っていくことができるわけです。

生前から、不成仏にならないように悪を捨て、仏の心を心として、
この世をよく生きていくことが、とても大事であることを、
しっかり心の中に修めておきましょう。