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みにミニ法話

(248)「負けない心」

負けるということで思うことは、
この世は思うようにならないということです。

自分が満足するように、何事も望みがかなっていけば、
負けることはありません。

オリンピックで金メダルと取りたいと思い、
それが思うようになって、簡単に取れてしまえば、
負けることはありません。

友達と喧嘩するのも、自分の思うようにならないからです。
思うようになれば、負けることもなく、平気でいられます。

今はどうか知りませんが、昔小学校の運動会でかけっこをするのに、
誰も負けないように、同じタイムの子どもを走らせていたようです。
社会に出ればみな競争の世で、負けるか勝つかの世界です。
小さい頃から、負ける悔しさと、
その悔しさに負けない心の力をつけなくてはいけないのに、
間違った教育をしているものだと、思ったことがありました。

負けるのは悔しいことですが、
その中から何か心の養いになる尊いものを、人は見つけ出すと思うのです。
それが宝であり、負けたことからくる報酬のような気もします。

こんな詩があります。
「味」という詩で、60才になる女性の方が作ったものです。

「味」

思うように ならなくて しょんぼりしたり がっかりしたり 
それこそが 心を育てるのだと 気がついた
気づくまでに 何十年も かかったが
その年数にも 深い味がする

(産経新聞「朝の歌」 平成25年6月21日付)

こんな詩です。

世の中は思うようにならないことが多いのです。
そのために、今月のテーマでいえば、勝ち負けで負けて、
しょんぼりしたり、がっかりする。しかしそれが心を育てている。
そんな心の教えになります。それが人としての良い味をつくるわけです。

負けることは悔しいことですが、その辛さに耐え、
今一度立ちあがって、挑戦していく。
そんな生きる姿勢が尊いのだと思います。

そう考えていくと、思うようにならないこの世は、
たくさんの学びがあり、心を養うのに、とても大切な世界であると思います。

思うようにならないことにくじけないで、何度も立ちあがっていく。
そんな負けない心が、尊い人生を築いていくのです。