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みにミニ法話

(213)「成仏の縁」

成仏というのは、仏に成ると書きますが、
一般的には亡くなった人が、いつまでも迷っていないで、
あの世に逝き、仏様のようになって幸せに暮らせるという意味があります。
亡くなった人に「どうぞ、成仏してください」という所以です。

また成仏をしないと、この世の人に悪さをしたり、たたったりして、
生きている人の幸せを阻害してしまう意味もここにはあります。
これは俗信ですが、昔から多くの人が信じてきたものです。

亡くなってそのようにならないためにも、成仏の学びをし、
亡くなっても生きているうちに成仏できる力をつけておかなくてはなりません。

まず、成仏で大切なことは、あの世の存在を認めることです。
「信じる人にはあの世はあり、信じない人にはあの世はない」
という考えは、必ず成仏の妨げになります。

実際「もうこの世に思い残すことはない」と言って亡くなった方が、
なかなか成仏ができなくている場合があります。

それは、生きている時に、あの世のことを信じなかった、
あるいは考えもしなかったことによる場合が多いのです。

死んだら何も無くなってしまうと思っている人が実際にあの世に逝って、
魂としての自分があるのにそれを認めることができないで、
ずっと迷った状態にいる場合もあります。

ですから、成仏の縁をつくる一番目の考えは、
「あの世がある」と確信することです。

あの世の確信ができたならば、
次に「この世で生きたように、死ぬ」という法則です。

善に生きた人は善の世界へ逝き、
悪に生きた人は悪の世界へいくということです。

これは仏教では基本中の基本の教えです。ですから、
この世で仏様のような心で生き、善を積み、日々、ほがらかに明るく、
人のお役に立てるような生き方をするということです。
それが成仏の力を作る考え方でもあり、生き方でもあります。

あの世に逝ってみなくては分からないというのは、
燃える火に手を当てなくては、その火の熱さは分からない
と言っているようなもので、愚かなことなのです。

どうぞ、成仏の意義を知ってください。