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みにミニ法話

(207)「まけない心」

2月といえば、まだ信州は寒く、
立春を過ぎても、大地は凍っていて、掃き掃除もできません。

本堂の横にある常緑樹であるユズリハの木の葉もしっかり縮こまって、
寒さをこらえています。

雑草も同じように縮こまって、寒さを耐えているように思えます。
人生にもこんな寒い冬の時があるものです。
そんなときに負けないで耐えることが大切になります。

かつて楽天の監督を務めていた野村さんは、
若い時に南海に今はソフトバンクですが、テスト生として入りました。

1年目は大半がブルペン捕手、下積みのままシーズンが終わり、
2軍のマネージャーから突然こう告げらました。

「素質があるかないかは日ごろの様子を見れば分かる。お前は無理だ」と。
いわゆる、お前は首だということでした。

ここで負けてしまったら、パ・リーグ最初の3冠王も、
名監督の道も閉ざされてしまったでしょう。

野村さんは涙ながらに
「給料はいらないから、もう1年いさせてください」
と訴えました。

お金を得て母に楽をさせてあげたいと野球界に入ってきたのに
「給料はいらないから」
と言いました。

それから自分の足りない所を練習で鍛え、
自分の欠点をどう補えばよいかを、よく考え、考え、考え抜いて、
野球をしていきました。

その結果が、名選手への道を歩くことになったわけです。
これは『野村再生工場』という本の中に書いてありました。

負けない力は、その精神力にあると思いますが、
なぜ負けない自分でなければならないかということを、
ちゃんと心の落としておくことです。

野村さんは「母を楽にしてあげたい」という目的がありました。
スポーツでもオリンピックで「金」(きん)を取りたいという目的があれば
負けないで頑張れます。

ですから、まず目標をしっかり持つことが肝要です。

そしてもうひとつは、ただ負けないという意志の強さばかりでなく、
どのようにしたら負けないかを考え考え抜くことです。

そこに負けないで勝利していく道が開けてくると思われます。