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みにミニ法話

(169)「心の力」

心に力があるというのは、普通あまり言いませんので、
どのような意味があるのか分かりづらいかもしれません。

筋肉の力というと、普段使われている言葉ですから、
「もっと腕の筋肉をつければ、重いものが持てる」と理解できます。

このごろ「考える力」という言葉が使われていますが、
心の力はこちらの方に近いかもしれません。

この世には見える世界と、見えない世界があります。

見える世界では筋肉の力が大事になってきます。
食べるのにも歩くにも、また手作業するのにも、筋肉の力が必要です。
日々の生活になくてはならない力といえます。

同じように見えない世界では、この心の力がないと生きていけないのです。

見えない世界では、
耐え忍びや優しさ、思いやり、自分を律す思い、努力や勇気などがあげられます。

たとえば、自分を律する思いですが、
飲酒運転を問題すれば、飲酒運転は禁止であるのに、
その約束を守らず、警察につかまる方々がいらっしゃいます。

飲んだら車に乗らないという約束、規則を守れないのは、
心の中に「飲んだら乗ってはいけない」という自分を律する力が欠けているからです。

人を殺したり、虐待したり、またセクハラをしたりするのは、
みなこの自らを律する心の力が欠けているからです。

筋肉に力を付けるのは、毎日の運動がかかせません。
同じように心に力をつけるためにも、毎日の心がけが必要になります。

また筋肉にはさまざまな箇所があります。
腕や足、お腹や背中など、さまざまに筋肉を使う場所があるように、
心にも自分を律する力があったり、優しさの力、思いやりや努力の力、
勇気の力などたくさんあります。

それらの心の筋肉を意識して強くしていくことが大切です。

たとえば、忍耐の力を養うならば、
「最もよく耐え忍ぶ者は、最もよくなすことのできる人なり」という言葉を、
日々心に投げかけ、この考え方に気をつけて生きるわけです。

毎日、自らに語りかけ気をつけていれば、
やがて心に力がついて、耐え忍びの力がついてきましょう。

そんな方法で、いくつもある心の力を付けていくのです。
肉体が衰えても、心の力は決して衰えないものです。