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みにミニ法話

(119)「政宗の遺訓」

伊達政宗の遺訓に、

気ながく穏やかにして、よろずに倹約を用い金を備うべし。
倹約の仕方は不自由を忍ぶにあり。
この世に客に来たと思えば何の苦もなし。

朝夕の食事は、うまからずとも誉めて食うべし。
元来、客の身なれば好き嫌いは申されまい。

今日の行くを送り、子孫兄弟によく挨拶して、娑婆の御暇申すがよし。

という興味深い言葉があります。

気をながく保ち、心穏やかで、すべてのことに倹約をし、お金を蓄えよといいます。
そのためには、この世にお客に来たと思えばよい、というわけです。

お客であれば、不自由な生活にも耐えていけて、
まずい食事でも美味しいといえる、というのです。

仏教的に考えてみれば、お金を備えることも大切ですが、
それ共に徳を備えておくことも大事になります。

徳を備えるために、この世にお客に来たと思えばよい、となります。

そうすれば、怒りや不平、わがままな思いをこらえることができて、
善も積みやすいと思われます。

知人の家にお客にいって、すぐステテコになる人もいませんし、
出された食事を「まずいから食べない」ともいいません。それなりに身を正し、
言葉も相手に不愉快な思いを抱かせないように選んで使うでしょう。

帰る時には「ありがとうございました」とか「お世話になりました」と言って、
その家を出ると思います。

そのようにこの世にお客に来たと思えば、常に襟を正し、
相手のことを考えながら、行動ができるようになります。

そんな生き方が、少しずつではありますが、
心の中に徳を備えていくことになるのです。

そしてお迎えが来たら、あの世にある自分の故郷に帰っていきます。
その時に持っていけるお土産は、お金ではなくて、心に積んできた徳なのです。

たくさんの徳というお土産を持って帰られるように、政宗の遺訓をよく心におさめ、
大切に日々を送っていきましょう。