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みにミニ法話

(110)「一つのいのち」

仏典のなかに、次のような童話が出てきます。それは、二つの頭を持った鳥のお話です。

あるとき、二つの頭を持った鳥が、美味しそうな木の実を見つけました。

一方の頭が木の実をついばみ、もう一方の頭は寝ていたので、その木の実を食べることができませんでした。

目が覚めた頭は、美味しい木の実を食べられなかったことを知って腹がたち、どうしても相手の頭を許せません。

そこで腹を立てた頭は、毒入りの実を偽って、もう一方の頭に食べさせました。そして「ざまあみろ」と怒鳴りつけました。

しかし、どうしたことでしょう。腹を立て仕返しをしたと思い、毒入りの実を食べていない頭も、苦しくてたまりません。

あまり腹立たしく思った頭は、二つの頭が一つの胴体でつながっていることを忘れていたのです。

そして、その二つの頭を持った鳥は、毒入りの実のために死んでしまったのです。

というお話です。

この話から読みとれることは、私たちはみな大きないのちにつながっているということです。

一つの尊いいのちから分かれて来たということです。

顔も身長も体重、性格もみな違っていますが、そんな私たちは一つのいのちでつながっているのです。

ですから、この二つの頭を持った鳥のように、自分の思うように行かなくなって腹を立て、相手を傷つけてはいけないということです。

相手に腹を立て、傷つけるような言葉を吐いたり、行動をしたりしても、結局自分自身も苦しい思いをするのです。

なぜなら、一つのいのちでつながっているからです。

相手を思いやり慈しみ、やさしい言葉をかけて仲良くすれば、相手も嬉しいし、自分自身も嬉しくなります。

それも一つのいのちで、私たちがつながっているからです。

一つのいのちから分かれてきた私たちであることを忘れないでいましょう。

相手を大切にすることが、自分を大切にすることであると知っていましょう。そこから幸せの光が放たれていくのです。