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しきたり雑考(14)

端午の節句 2

今月は「端午の節句」の2回目のお話になります。

昨年、端午の節句で、田植と菖蒲と鯉のぼりのお話を致しました。

この時期は季節の変わり目で、
昔の人は、そんな時期に魔が忍び込みやすいと考え、
さまざまな邪を祓う行事を行いました。

端午の節句には菖蒲やよもぎを軒にさし、
宮廷では丸い絹の包みの中に、香薬を入れ、御所にかけるのです。
これも邪気を払うもので、それを薬玉(くすだま)と言いました。
現在では、ひもを引っ張ると垂れ幕や花吹雪がでる薬玉は、
ここから由来しています。

この菖蒲は、花菖蒲でなくて、サトイモ科の菖蒲で、
華やかさはないのですが、強い香りを放ち、
これが邪気を払う力があると信じたのです。

この節句には、ちまきや柏餅(かしわもち)をいただきます。
ちまきは、難を避けるという意味があるようで、
中国の故事に由来しているようです。

昔、中国に屈原(くつげん)という詩人がいて、
国王に使える優秀な政治家でもあったのですが、
陰謀により失脚し、川に身を投げて死んだのです。

人々は、この屈原を惜しんで、川に供物を投げたといいます。
しかし、龍がその供物をすべて食べてしまうので、
龍の嫌いな栴檀(せんだん)の葉で餅を包み、
五色の糸で縛って捧げるようになったのが、このちまきの由来のようです。
日本では、チガヤや笹、竹の皮やワラなどに包みます。

柏餅をいただくのは江戸のころだそうです、
柏の木は古来から神聖な木とされ、
その葉は秋に枯れても春に新しい芽が出るまで落ちないところから、
親から子へと代が途切れずに続く縁起のよさも加わって、
葉を塩つけにして柏餅を包むようになったのです。

日本の文化には、奥深いものがあります。
よい伝統として、残していきたいものです。

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