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しきたり雑考(6)

十五夜

今月のしきたり雑考は「十五夜」です。

十五夜は旧暦では8月15日ですが、新暦では今年、9月27日になります。
十三夜(じゅうさんや)は10月25日です。
この二つの月を合わせて、「二夜(にや)の月」といいます。

十五夜を見て十三夜を見逃すと、片月見(かたつきみ)といって、
忌み嫌われ、不吉といわれていたようです。

月見には、お月様にお供え物をします。
三方(さんぽうといって、儀式に使う台)に月見団子を供えます。
十五夜には十五個、十三夜には十三個、供えます。
また十二個という説もあり、うるう年には十三個という説もあります。
月の神様にお供えするものです。

月から見て左側が上座になるようで、
右に団子を供え、左には里芋や秋に取れた収穫物を供えます。

ちなみに団子は、
上新粉200g(少し砂糖をいれてもよい)に少しずつぬるま湯を加え、
耳たぶぐらい柔らかくなるまでこねます。
それを適当な大きさにちぎって丸め、沸騰した湯で3〜4分茹(ゆ)で、
団子が浮いてきたらすくって、冷やしてできあがりです。

そしてススキを飾ります。
ススキの穂は稲の穂に見立てているようです。

なぜ、ススキを飾るかですが、
これは月の神様の依代(よりしろ)だといわれています。
依代というのは、神がそこに降りてこられ、そこに乗り移るものです。
ですからススキが月の神そのものになるわけです。

神道では、鏡や大岩、まが玉などが依代になります。
仏壇にある位牌は先祖様が降りてこられる依代です。

この時節は稲刈り前なので、代わりにススキの穂を飾り、
田の稔りに感謝をささげるとともに、豊作を祈り願うのです。
さらに、ススキの切り口は魔除けになるとも言われています。
ススキは瓶子(へいしといって、口がすぼまった壺)に飾ります。

月は神や仏そのものとして、昔から大切にされてきました。
日本の大切な文化であると思われます。

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