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しきたり雑考

(5)七夕

今月は七夕(たなばた)についてです。

七夕は7月7日ですが、これは五節句(節供とも書く)の一つです。

1月7日の人日(じんじつ)、3月3日の上巳(じょうし)、
5月5日の端午(たんご)、9月9日の重陽(ちゅうよう)、
そしてこの七夕で五つの節句になります。

節句とは農耕儀礼で、
季節の節目に、災害や厄災が起こらないようにと神々を祭って供え物をしたのです。

読み方が「たなばた」と読んでいますが、本来は「しちせき」と読むようです。
なぜ「たなばた」と読むようになったかです。

日本には古来からこの季節に、「棚機」(たなばた)という行事がありました。
棚機(たなばた)で、棚機女(たなばたつめ)という、
はたを織る女性が、水の神にささげる神聖な織物を織り、
それを神様に供えて災害が起こらないようにと祈ったわけです。
ここから七夕を「たなばた」と読むようになったと言われています。

この七夕の日に
彦星《牽牛星(けんぎゅうせい)・アルタイル星》と
織姫《織女星(しょくじょせい)・ベガ星)が天の川をはさんで、
一年に一度会えるという言い伝えがあります。

天帝の娘である織姫(織女・しょくじょともいう)は、
機織りが上手な働き者であったのですが、
天の川の向かいの岸に住む牽牛に夢中になり仕事をしなくなったのです。
そこで怒った天帝が二人を引き離し、一年に一度しか会えないようにしたようです。

この日、雨が降れば、天の川の水が増水し渡れないので、
そのときはカササギが橋渡しをしてくれるようです。

この日は笹や竹に短冊をつけて願い事を書きます。
それは織姫が、機織りが上手なことにあやかって、
宮廷で針や糸を供えて手芸の上達を願ったことからきています。
後に和歌や書道の上達も願いました。

短冊に願い事を書くのは、江戸時代から始まったようですが、
今ではさまざまな願い事を書いてつるし供えます。

笹や竹を使うのは、これらが生命力あふれ、まっすぐ伸びることから、
神聖なものと考えられたことからきているようです。

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