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しきたり雑考

(2)花まつり

今月のしきたり雑考は「花まつり」です。

この花まつりは灌仏会(かんぶつえ)ともいって、
お釈迦様の誕生を祝う行事です。

4月8日に行います。
昔は旧歴の4月8日でしたから、今年でいえば、5月25日になります。

灌仏会の灌は、そそぐという意味ですから、仏様にそそぐ会です。
そそぐものは甘茶です。

お釈迦様が生まれたときに、その誕生を祝って、
九匹の竜が天から甘い雨を降らせたことに由来しています。

花御堂(はなみどう)といって御堂を花で飾ります。
花には古来から、神霊が降臨すると信じられていていました。
お花見も花に降臨した神霊に神饌(しんせん)といって、
米やお酒、魚、野菜、塩、水なのを供え、その供えたものをみんなでいただき、
神人共食として直会(なおらい)をし、神の霊力をいただく意味がありました。

その花御堂に、
浴仏盆(よくぶつぼん)といって、甘茶をかける盆を置き、
その中に小さなお釈迦様をおいて、そのお釈迦様に甘茶をかけて祝います。

お釈迦様の姿は、右手は天を指し、左手は地を指す姿をしています。
これはお釈迦様が生まれたとき、七歩、歩いたのち、
このような恰好をして「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆいがどくそん)
と唱えたことに由来しています。

この意味はさまざまですが、天にも地にも私ほど尊い存在はないという意味で、
この世に生まれ、人々の幸せにために教えを伝える仕事をするという、
決意と責任の大きさをうたった言葉なのです。

甘茶は三度かけますが、
一度目はお釈迦様を祝い、いつまでも私たちを守ってくださるようにと願います。
二回目は、私の心も、この甘茶の霊力によってきれいになり、健康でいられますようにと願います。
三回目はすべての人が幸せになれますようにと祈りかけるのです。

実際にこの甘茶をいただくと、病気にならないとも言われています。

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