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仏事の心構え(162)

仏像の見方について 42 仁王

今月は「仁王」(におう)です。

寺院の門の両脇に安置されている仏様です。

日本で一番大きい仁王様は、奈良の東大寺、南大門に安置されている仁王様です。

鎌倉時代の有名な仏師である
運慶(うんけい)と快慶(かいけい)が製作したと言われています。
高さが8m40cmもあるようです。

一人の仁王様もあるようですが、門の両脇に立っている二人の仁王様が有名です。
向かって左側が口を開けていて、右側が口を閉じています。
逆の場合もあるようです。

口を開けているほうが「阿」(あ)という形で、
口を閉じているほうが「吽」(ん)という形です。

阿はすべての字の最初であるので、万物の根源を表し、
吽は終わりを表しています。

あるいは、法の始まりと究極を表しているとも、すべてが始まる理念の本体とか、
吽はそれらが帰着する知徳を表しているとも言われています。
難しいですね。

阿と吽で、すべてものをそこに包含(ほうがん)している、
包み込んでいるといっていいかもしれません。
すべての真理を抱きとっているともいえます。

この仁王様はお寺の入口の山門の両脇に立っていますから、
お釈迦様の教えを守る役目を担っているのです。

あるいは、あの恐い顔で、私たちの迷いの心や煩悩を打ちくだいて、
素直な思いで教えを聞く、そんな心を私たちに授けてくださっているともいいます。

あるいは、私たち凡夫は、教えを聞いて正しい道に入るのに、
つい怠りの思いやなまけ心がでてきます。
その心を戒めてくださっているとも言われています。

よく仁王様の股(また)を小さな子供たちにくぐらせ、
子供たちが無病息災で大きく育つこと願うお祭りがありますが、
そんな悪を退け、守ってくださる慈悲の心をお持ちなのが、仁王様でもあります。

あの恐ろしい顔は、不動明王様と同じで、
私の煩悩も逃げ去っていきそうに思えます。