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仏事の心構え(161)

仏像の見方について 41 阿修羅

今月は「阿修羅」(あしゅら)のお話を致します。

この阿修羅で有名なのは、興福寺の宝物館に安置されている阿修羅像です。

学校の修学旅行で、一度実物を見たことがあります。
細くて赤い顔をしてう、顔が三つもあって、
しかも手が何本もある異常な形をしている、とその頃は思ったものです。

この顔が三つあって、手が六本ある形を、
三面六臂(さんめんろっぴ)といいます。

この仏像は天平の名作と言われているようです。
天平とは奈良時代なので、ずいぶん古い仏像です。

六本の手は、実にバランスよく配置されているようで、
手の表情が不思議と美しいのです。

顔は少し眉根(まゆね)に皺(しわ)を寄せていたり、
下唇を噛んでいて、それぞれ表情が違っています。
これはお釈迦様の説法を聞く真摯(しんし)な態度であるといわれています。

もともとはインドでは、悪役の阿修羅であったのですが、
仏教に取り入れられて、仏を守る八部衆(はちぶしゅう)の一人になったのです。

阿修羅は、
インドの言葉では「スラ」の語に「ア」という否定語がついたアスラの音訳で、
「非天」などの意味があるようです。

初めは正しい神様であったようですが、
時代が変わっていって、「天には非(あら)ず」で、鬼神に変わっていったようです。

仏教では六道といって
死後、悟れないものは、この六つの世界にいくといわれています。
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天の六つの世界です。

この中に修羅がありますが、この世界は戦闘を繰り返す世界です。
いつも戦争状態というのか、喧嘩ばかりしている世界です。
普段から怒りを抑えられない人は、死後この世界に行くとされています。

この修羅にいる鬼神としての阿修羅が
お釈迦様の説法を聞いて、帰依し、悟って、仏教の守護神になったのです。

お釈迦様の説法の力に、驚くばかりです。