仏事の心構え(154)
仏像の見方について 34 弁才天
今月は弁才天(べんざいてん・弁財天と書く場合もある)です。
さて、弁才天は女性のお姿をしていますので、吉祥天と間違えやすいかもしれません。
しかし弁才天は琵琶の(びわ)のような楽器を持っていますので、
それを知っていればすぐ見分けがつきます。
中には、8本の腕を持っているものもあります。こちらのほうが多いようです。
琵琶湖の竹生島(ちくぶしま)の弁天堂には、
8本の手をもった大きな弁才天が数体あると聞きます。
弁才天はもともと河(かわ)の神様で、
川の流れる音が音楽にたとえられ、音楽の神様になり、
その音楽の流れが、教えを巧みに語る神様に変わっていったといいます。
やがて学問や、幸福、財宝の神様としても信仰をえていったと言われています。
お稲荷(いなり)さんの使いはキツネですが、弁才天の使いはヘビのようです。
毎月の巳(み)の日が弁才天の縁日とされるところからきているようです。
日本ではヘビは神聖な生き物とされ、神道でも大切に扱っています。
ヘビが弁才天の使いであることから、
ヘビの抜け殻を財布に入れておくと、財産が増えるという信仰もあったようです。
江ノ島に弁才天の言い伝えがあります。
昔、武蔵国と相模国(さがみのくに)の境に深沢と呼ばれる大きな湖がありました。
そこには700才をこえた大蛇である龍が住んでいて、頭は5つあったといいます。
その大蛇が凶暴になって、人をも食べたので、
人びとは恐れて不安な日々を送っていました。
このとき弁才天が、この大蛇である龍に
「もし、おまえが悪をやめて、人びとを守る守護神になったなら、
あなたの嫁になって、夫婦の契りを結ぼう」
と言われました。
龍も弁才天の美しさに悪を修め、人びとを守る守護神になったというお話です。
本当の話であると私は信じますが、お読みのみなさんはどう感じられるでしょうか。