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仏事の心構え(151)

仏像の見方について 31 四天王1

今月は「四天王」の1回目です。

四天王とは、東西南北を守る偉大な王という意味の仏様です。
持国天(じほくてん)、広目天(こうもくてん)、
増長天(ぞうちょうてん)、多聞天(たもんてん)です。

この四天王で有名なのが東大寺の横にある戒壇院です。
戒壇院には何度か足を運び、お参りしたことがあります。

その四天王の中でも、広目天(こうもくてん)に、何やら引かれるものがあって、
大学時代から写真なので見て、是非お参りしたいと思っていました。

この広目天は左手に経巻を持ち、右手に筆を持っています。
特に目の力が優れていて、遠くまで見通す、そんな雰囲気があります。
千里眼をもって、この世を観察するというようにいわれています。]

私自身は、手に持っている経巻と筆が印象的で、
経巻と筆で仏教を守っていると思い、それにあやかって、
「法愛」という冊子を出しているのです。

戒壇院の四天王は、できた当時は色彩が施されていたようですが、
今はその色も失われ、灰色一色ですが、返って力強い雰囲気をかもしだしています。

一般的に、四天王の特徴は、
忿怒(ふんぬ)の相で、怖ろしい怒りの表情をしています。
足には邪鬼(じゃき)を踏みつけています。

この意味は、仏教に敵対する邪悪なものを打ち負かすことを象徴しているわけです。

この邪鬼を一般に天邪鬼(あまのじゃく)と呼んでいます。
よく人とは反対のことをいう人を天邪鬼といいますが、
この天邪鬼は、人の心に住む煩悩を表していて、
煩悩に心を奪われると、正しい判断ができず、
人を不幸におとしめるようなことを言ったり、そんな行いをするようになるわけです。

四天王の持国天は、
右手に剣を持ち、左手は伸ばして膝(ひざ)のあたりにたらしています。
口は閉じ、邪鬼の背中と頭を足で踏みつけています。

この持国天の働きは、字のように国を守り、大いなる徳を持つとも言われています。