ホーム > 法愛 3月号 > 仏事の心構え

仏事の心構え(148)

仏像の見方について 28 烏枢沙摩明王

今月は明王の4回目です。今回は烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)です。
仮名がふってないと、読める字ではありませんね。

この仏様は、禅寺ではトイレに祀(まつ)られていて、
トイレに入る時にはこの仏様に合掌礼拝して入り、
出る時にも合掌礼拝して退出します。

なぜならば、この仏様は不浄を清浄に転じる力があるとされているからです。
また、ある修法に従えば、悪鬼(あっき)などの祟(たた)りを起こす妖怪などを退治し、
あたりを仏が住まう清浄な領域にする力があるともされています。

サンスクリット語では、ウッチュシュマといい、
それを意訳して不浄金剛(ふじょうこんごう)などと言われることもあります。
不浄な悪魔を退散させる使命を持った仏様であるわけです。

昔から民間でよく信仰されたようで、やはり不浄所などに祀られていたようです。

お姿は怖い顔をしています。忿怒相(ふんぬそう)です。

一目で明王様と分かります。顔は一つが、一般的です。
手の数が二本、四本、六本などがあり、髪の毛は逆立てています。
上の部分にはヘビが取り巻いているものが多いようです。

手足にもヘビを巻きつけているものあります。
なぜ、ヘビかと思ってしまいますが、ヘビにはどんなものにも負けない生きる力、
強い力があるようです。

身体は赤い色をしているものもあれば、
禅寺で祀ってあるのは黒いお姿をしています。

牙をむき出し、目は蜜目(みつもく)といって、
黒目が小さく、少し変わった目をしています。

こうして明王を見てくると、普通の人からは想像できないようなお姿をしていて、
なぜこんな仏様がいるのか理解できない部分もあります。

大日如来の脇侍であるようで、
私たちの煩悩や邪をのぞいてくださるのですから、
それは怖いお姿をしていなければ、使命が果たせないかもしれませんね。