仏事の心構え(136)
仏像の見方について 16 観音菩薩2
今月は「観音菩薩」の2回目になります。
先月7観音のお話をし、十一面観音を少し説明しました。
次に不空羂策観音です。
羂策は「けんさく」とも「けんじゃく」とも読みます。
この仏様の姿は一般的には、手が8本あって、1つは真中で合掌しています。
あと6本の手にはいろいろな仏具を持っています。
錫丈(しゃくじょう)、剣、蓮華,払子(ほっす)などで、
その中の1つに布で編んだ縄のようなものを持っています。これが羂策です。
左手の方に、この縄を持っているのが、この観音様の特徴です。
これは狩猟のときに使う縄といいます。
羂(けん)は魚など取る網で、策(さく・じゃく)が魚をつる糸と言われています。
これは悩める人々を一人もとりこぼすことなく救うという意味があるわけです。
羂策の上についている不空は、失敗がなくもれなく救うという意味です。
この観音様も多くの信仰を得てきましたが、その基本は信仰心です。
信じて念じることで、さまざまな救いをいただけると仏典には記されています。
救いの内容を少しあげてみましょう。
あくまでも、信じて念じることで、功徳が得られるわけです。
1.身に病ななく、もしあってもすぐ治る。
2.水害や火災で財産を失うことがない。
3.崖から落ちても死ぬことがない。
4.まわりの人からほめ慕われ、天寿を全うする。
5.どこにあっても慈悲喜捨の菩薩の心をもつことができる。
まだ15ほどありますが、特徴のあるものを挙げてみました。
信じ念じれば救われるということですが、
自分自らも、仏の心になって人に接し、人に役立つ人間になっていくことが、
願いを叶える基本であることを忘れてはいけないと思います。