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仏事の心構え(135)

仏像の見方について 15 観音菩薩1

今月は菩薩の5回目で、「観音菩薩」(その1)のお話を致します。

観音様はさまざまに化身をして、私たちを救ってくださるという信仰があり、
菩薩様のなかでは特に有名な菩薩様です。

『法華経』(ほけきょう)のなかに「観音経」という章があって、
一般によく読まれるお経です。

その中に津波のことも出てきます。
一心に観音様を念じ、その名をお唱えすると、
さかまく波もその人を沈め溺らせることはできない
「波浪不能没・はーろうふーのもつ」というのです。

東日本大震災で津波に遭って多く方が犠牲になりましたが、
この観音様に助けを求めると、奇跡が起こったかもしれません。
今ではそんな信仰も薄れてしまっていますが・・・。

観音様の特徴は阿弥陀様の脇に控える菩薩様で、
頭にかぶる宝冠には、阿弥陀様の化仏(けぶつ)が彫られています。

そして右手に蓮華を持ち、
左手には水瓶(すいびょう)といって一輪ざしのようなビンを持っています。

これは一般的な姿ですが、宝珠(ほうじゅ)や施無畏印(せむいいん)という
手に印を作っているものもあります。
この印は釈迦如来のところでお話したものと同じです。

観音様にはさまざまな形のものがありますが、代表的なものが7観音といって、
今説明している観音さまを聖(せい)観音とし、あとの6観音があります。

順次あげると、十一面観音、不空羂策(ふくうけんさく)観音、千手(せんじゅ)観音、
如意輪(にょいりん)観音、馬頭(ばとう)観音、准提(じゅてい)観音です。

十一面観音は、この名のごとく、十一の顔を持ち、
それだけ多くの人の悩みや苦しみを見、察することができ、
それゆえ手を垂れて、助けることができるわけです。

十一の顔にはみな同じではなく、正面の大きなお顔は、如来としての境地を表し、
忿怒(ふんぬ)といって怒った顔をしたものもあります。

邪を祓うのには、そんな厳しい姿も必要なのですね。