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仏事の心構え(120)

葬式とは何か 5

今月も葬式についてです。
今回を葬式については最後とします。

一般的な葬式のまとめをしてみましょう。

まず1番目として、
葬式は、その儀式の力で亡き人をあの世に送ってあげる意味があります。

身体の内に重なっていた霊あるいは魂(意識体といってもいいでしょう)が、
身体から抜け出して天の世界へ無事帰っていただくためにするわけです。

生前行った善を称え、犯した悪は、
僧侶の呪術の力と集ったみなさんの供養の力で消し、
心清浄にして、あの世に帰してあげるのです。

死んだらお終いでは、葬式の意味が無くなってしまいます。
「死んだらお終いではない」ということを、よく知っておくことです。

2番目に別れの場として、親しい人との最後のお別れをする場になります。

生前共に過ごしてきた人たちが、仏様のご加護をお願いし祈り、
また感謝の気持ちをささげる厳粛な別れの式といえます。

生前の徳をたたえてあげて、涙を流して送ってあげる。
どれだけ故人が喜び、感謝をささげることでしょう。

死んだら故人は何も分からないなどと思わないことです。

3番目に遺族の別れの辛さ悲しさを癒す力があるといえます。

お世話になった方を大切に葬(ほうむっ)てあげるのは、また人としてのつとめですし、 「お世話になったから、できるだけのことをしてあげられて良かった」という思いが、
また送る側としての癒しつながってくるのです。

「もっとしてあげれば良かった」という後悔の念を持たないよう、
心こめてお別れするのです。

この思いが、悲しみを癒し、人としての生き方を深めていきます。

4番目に葬儀の儀式を通して、遺体をていねいに扱い、
人間としての尊厳を大切にしてあげるのです。

ゴミと一緒に捨て去っては、そこに何の尊敬の念もわいてきません。
ていねいに死体を扱うために、葬式までの一連の作法がありますが、
みな亡き人を大切に思ってのことです。

その一連の様子を家族や子ども、孫たちが見て、尊い人の別れと知るのです。