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仏事の心構え(100)

法事 10 「位牌」

今月は「法事」の10回目です。「位牌」について考えてみたいと思います。

法事の際には、必ず位牌を祭り、その前で供養の法要を行います。

この位牌は南北朝時代あたりから作られたようですが、日本の民族信仰と仏教がよく和して、今の形態になったと思われます。

 この位牌は、故人の霊魂が、安らいとどまる依代(よりしろ・霊が乗り移るところ)と信じられたてきたわけです。ですから礼拝の対象であり、神聖なものといえます。

人が亡くなると白木で2つ位牌を作ります(都会では1つ、宗派によって作らないところもある)。

お墓に持っていく位牌を野位牌といい、四十九日まで家に置く位牌を内位牌あるいは本位牌といいます。

四十九日までは内位牌は祭壇にまつって、忌明(きあ)けの四十九日の日には、漆塗(うるしぬ)りの位牌にし、開眼のご供養をして、お仏壇に安置します。

四十九日までまつっていた内位牌は、お寺におさめるか、お墓へ持っていきます(お寺さんによって指導が異なる)。

昔は三十三年忌になると、その位牌を焼いたり墓地に持っていったり、お寺へおさめたりしました。

それは霊が浄化され先祖の霊になると信じていたからです。今ではこのようなことはしなくなりました。

夫婦の場合は、二人一緒に戒名を一つの位牌に書いてお参りしてもかもしません。
最近は黒塗りの位牌や朱色の位牌もあるようで、そのうち透明な位牌に戒名を記す、そんな位牌も出てきそうです。

要は、故人への思いやりが大切ですから、時代にあったものでよいでしょう。

位牌には「繰り出し位牌」という位牌もあります。亡くなった方々の戒名を四角い小さな板に書き、複数重ねて位牌の内部に納めるものです。

これは、多数の霊をまつる利点があります。位牌の書かれた板を死亡順に並べ、命日の日に順に表に出してお参りします。
しかし命日に出すのを忘れてしまうので注意が必要です。

最近では、三十三回忌が終わって、繰り出し位牌に入れる場合もあります。