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仏事の心構え(92)

法事 3

今月は「法事」3回目のお話になります。

今回の「法事」ですが、四十九日に「四十九日の餅(もち)」をお供えします。これは何故でしょうか。その辺のお話をしたいと思います。

この四十九日の餅は、地方によって違うようで、葬式の当日に供えるところや、初七日、四十九日の忌明(きあ)けに供えるところもあるようです。

一般にはひと臼(うす)から四十九の餅と少し大きめの餅を一つ作り、計五十個の餅にします。

四十九の餅は法事の後、お寺やお墓に持っていき、もう一つの大きな餅は、お墓参りした後で、親戚の人たちが少しずつ手でちぎって、塩をつけ食べるのです。

葬式当日にお墓から帰ってきて餅を食べるところもありますが、それは死者との「食い別れ」です。一説には、忌のものを食べると、この場合は餅ですが、かえって不治の病や、願い事が叶うという信仰もあったようです。

特に忌明(きあ)けの四十九日の餅は、この餅に荒魂や死の穢れをこの餅にうつし、家から去らしめるための依代(よりしろ)として作ったようです。ですからお寺や墓地に持っていったのです。

お寺や墓地に納める以外には、屋根越しに投げて、死者の霊魂を家から離れさせたり、カラスなどの鳥などに施しをしました。この施しは、餓鬼などに饗して、荒魂を鎮めるためでもあったようです。

『葬儀』のところでも書きましたが、葬列を作ってお墓へいく道中、籠(かご)からお金をまいたり、菓子をまいたりするところもありました。これは施しをすることで、死者の生前の罪をほろぼすための布施行でした。

それを四十九日の餅をお墓に供えて餓鬼に施すことで、亡き方の布施行を代わりにしてあげて徳積みをし、無事仏様の世界へ帰っていただけるようにという、家族の人たちの思いやりの行為でもあったと思えます。