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仏事の心構え(79)

法愛 仏事の心構え|臨済宗妙心寺派 法城山 護国寺

六道


今月は「六道」(ろくどう)についてお話を致します。

六道というのは、あの世の六つの世界をいいます。
あの世の特徴は、考え方が同じ方々が集まるという法則があるようです。
この世ではさまざまな人びとが雑居しています。仏陀も現れれば、名も知れない凡人もいる。身を尽くして人のために働く人もいれば、盗みをしたり、人を殺す人もいます。しかし、あの世では、盗みをするような人、そんな考え方を持つ人は、そのような同じ考えをする人たちが集まる場所にいきます。生前、善を積めば、そんな人が集まっているところに帰ります。ですから、そのような善なる世界は、おそらく住みやすく花の咲くあたたかな世界でしょう。この意味で、あの世の行き先を決めるのは、この世の生き方にあるわけです。

六道は地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天の六つの世界を言います。

地獄は悪なる考えを常に持って生きた人が行く世界で、餓鬼は欲深い生き方を人がいく世界、畜生は嘘をついたり、恨んだり、嫉妬をしたり、そんな人が行く世界、修羅は怒り多い人の行く世界、人間はこの世のことでなく、善に生きた人の行く世界、そして天は善を積み神仏を信じる人たちがいく世界です。
ですから、善を積んだ人は地獄には生きませんし、怒り多い人が天の世界へ行くこともできません。

その六つの世界である年月修行をし、心が善に満たされ、ある程度人間として心が練れてきたとき、またこの世に生まれてきて、新たな修行をするわけです。それはまだまだ迷える自分であり、課題が残っているから六つの世界と、この世を行ったり来たりするのだと考えられてきました。その六道を出で、さらなる高い光ある世界へ昇っていくのが、悟りの理想とされてきたのです。

六つの世界には、そこに行かれた人びとを救う仏様がいます。それが六地蔵様です。

絵空ごとのような話ですが、多くの人がこのことを信じ、死後の行き先を恐れ、それゆえに仏を信じ、正しく生きようとしてきたのです。