ことわざ雑考

ことわざ雑考(29)|「平家を滅ぼすは平家」

今月のことわざは「平家を滅ぼすは平家」です。
{『ことわざ・名言辞典』(創元社)を参考}

意味は、
「自らを害する者は自らである」
とあります。

歴史的には平家が平家を滅ぼしたのではなく、
平家を滅ぼしたのは源頼朝で、
平家を滅ぼす決定的な役割を果たしたのが、源義経(よしつね)と言われています。

私の持っている『平家物語』(日本古典文学全集・小学館)の書き始めに、有名な
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」
とあります。

ここに出てくる鐘は、お釈迦さまが説法した大寺である宿舎が精舎と言われ、
その精舎内に無常堂という堂があって、その四隅にある鐘が、
病の僧が臨終の際、自然に鳴ったという鐘です。

つぎに
「おごれる人も久しからず。ただ春の夢のごとし。
 たけき者も遂にはほろびぬ。偏に風の前の塵に同じ」
とあります。

ですから、平家がおごれる人で、
平家最後の「我が世の春を謳歌した」という平清盛が、
おごりたかぶる横暴な人であると書かれています。

ですから、平家のおごりが、自らを滅ぼしたということになるでしょう。
おごりというのは、思い上がりや、得意になってたかぶることです。
そんな生き方が自分自身を滅ぼすということです。

これは平家の話でしたが、
私たち日常における自分自身を害する生き方、不幸にする生き方は何でしょうか。
考えてみます。

まず、私はダメな人間だと思うこと。
何をやっても失敗する。人生なんて苦しいことばかり、楽しいことなんて何もない。
あいつが悪い、私が被害者よ。もう失望した、絶望した。
これらの生き方は、幸せになれない考え方です。

今年6月の新聞(産経)に「将来を悲観 父の絶望」という見出しで、
知的障害を持つ11歳の長男を66歳の父親が殺害したという記事が載っていました。

母親はすでに10年前に亡くなっていて、一人で子を育てていたようです。
でも、経済的に厳しく食べるものもなくて、将来を悲観し、
子の首をしめて殺害したようです。

絶望が、自分自身を滅ぼしたのです。
ダメではない、なんとかなる。きっと幸せの道がある。
そう思い努力することです。

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