今月は「東家に食し西家に宿す」についてお話しします。
{『ことわざ・名言辞典』(創元社)を参考}
意味は、「二つのよいことを一時に得ようとする」とあります。
これだけではよく分からないので、
『中国故事たとえ辞典』(細田三喜夫編 東京堂出版)で調べてみました。
そこにこんなことが書かれています。
どん欲な者が利を選ぶにつとめること、とあり、
次のような故事が書かれていました。
中国の春秋時代で斉(せい)という所に住む一人の女性のことです。
斉に、一人の女があった。
ふたつの家が、これを求めた。その家の者が、その女に語って言った。
「東の家を望むならば、左の肩を脱ぎなさい。
西の家を望むならば右の肩を脱ぎなさい」その女は、両方の肩を脱いだ。
父母がそのわけを問うた。
女は答えて、言った。「東の家で食べて、西の家で寝たいわ。
東の家は金持ちだが、ぶ男で、西の家はいい男だけれど、貧乏ですもの」(『中国故事たとえ辞典』 細田三喜夫編 東京堂出版)
こんな故事です。
金持ちと貧乏。ぶ男といい男。
その両者から、金持ちといい男を選ぶ女性です。
気持ちはわかりますが、欲深い人柄が見えてきます。
このことわざに似た「二兎追う者は一兎をも得ず」があります。
私の母は生前「欲かくと糞かく」と言っていました。
ことわざ辞典には載っていませんが、どこで聞いたのでしょう。
お釈迦様は
「たとえ貨幣の雨を降らすとも、欲望の満足されることはない」
と言っています。
イソップ物語に「ウマになりたいロバ」の話があります。
重い荷物を背負わされ、こき使われているロバが、
毎日美味しいものを食べて、小屋で飼われているウマを見てうらやましく、
「ウマに生まれたかった」と、自分の不運を嘆いていました。しかし戦争が始まると、ウマは戦争に駆り出され、傷つき、
重症をおったウマもいました。ウマはロバを見て、
「戦争に駆り出されない君がうらやましい」というのです。
それを聞いたロバは、もうウマをうらやましがることがなくなりました。
これもロバの欲といえるかもしれません。
あの人は幸せそうだが私はみじめだ。
そう思うことも欲深さからきているようです。
与えられた今ある自分に感謝しながら、
小さな幸せを大きくとらえていくと、幸せになれます。