成仏という言葉は、人が亡くなったとき、
「この人は成仏した」とよく使われます。
これは、ちゃんと亡くなって後、
幸せの世界に帰ったという意味があります。
一方の不成仏といえば、死んでまだ、帰るところに帰っていないで、
あの世とこの世の境をさまよっている。
そして幽霊のように、生きている人に、
悪さをするといった意味があります。
死んで後のことで、この二つの言葉を考えていくと、
できれば死んで後に成仏したいと思うのは、誰しも考えることです。
この成仏は仏に成ると書きますから、
仏と同じような生き方をすれば成仏できると考えられます。
『華厳経』というお経の中に「破地獄偈」(はじごくげ)という、
地獄を破り抜けだして、天に昇っていくという詩がでてきます。
ある人がこの世で悪い事をして、地獄に堕ちました。
しかし生前、仏を信じる心があったので
天から一つの詩が聞こえてきたのです。
その詩を受けとめ、自分のものにして、
この人は仏の国へ昇っていくことができたという、そんなお話です。
この詩を要約すれば
「仏を知ろうと思えば、一切は心の現れだから、
心を仏の心に染めれば、すべてをのことを、
仏と同じように見ることができる」
と言った意味の詩です。
この男はそこで、仏の心とは何かを思い、生前の悪い思いを反省し、
心素直に、優しく、思いやり深く、自分の心を仏の心に変えていったのです。
すると、今まで暗い洞窟のような世界が、明るい緑の木々と花の咲く、
世界に変わり、仏の世界に入ることができたわけです。
成仏というのは、生前から仏の心とはどんな心かを問い尋ね、
その心を自分の心と重ね合わせ、多くの時間、
仏の思いに心を染めることが必要なわけです。
そんな生き方をして、この世の使命を終え、
あの世に帰ったとき、成仏できる、
すなわち仏の世界に昇っていくことができるわけです。
生前から、不成仏にならないように悪を捨て、仏の心を心として、
この世をよく生きていくことが、とても大事であることを、
しっかり心の中に修めておきましょう。