生き抜く力といえば、
困難にもめげずに、頑張って生きるというイメージが感じ取られます。
一人の力で前へ突き進むといった感じもありますが、
この生き抜く力の中には、一人の力でなく、多くの支えがあって、
生かされているという面も忘れてはならないと思います。
紙に表と裏があるように、
表が自分の力で力強く生きるということであれば、
裏の面が、多くの人に生かされているということです。
その両者があって、紙になり、あるいは「生き抜く力」になるわけです。
今話題になっているピアニストで、辻井伸行さんがいます。
第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで優勝した、
当時は若干、20才のピアニストです。
小さいころから目が見えず、それでも音楽の道に入り、
その天才ぶりを世に知らしめました。
審査員であるヴァン・クライバーン氏は
「奇跡としか言いようがない。
彼の演奏は神聖な癒しの力を持っている。まさに神のみ業だ」
と言っています。
本人は目が見えないからすごいというのでなく、
演奏そのものを聞いて、みんなが癒され楽しんでくれれば、
という思いであるようです。
目が見えたなら何が一番見たいという質問に
「両親の顔が見たい」と答えたのは、日ごろ目が見える私にとっては、
重い言葉として受け止めさせていただきました。
目が見えないということは楽譜が見えないことです。
ですから、一曲演奏するには、多くの努力が必要であったでしょう。
力強い生き方を思います。
そしてもう一つ、こんな力強い生き方をする陰には、
やはり両親や、まわりの人達の支えがあったからでしょう。
支えてもらえなければ果しえない偉業です。
生き抜くためには、自分の力も必要ですが、
支えてくださる方々の力もとても大切になります。
そして、そんな支えを頂けるために、
謙虚さと真摯な努力をいつも忘れないことだと、
一人のピアニストに教えていただくのです。