悲しみはできればないほうがいいのですが、
長い人生のなかで、悲しみは必ずやってきます。
この悲しみを味わうことで、
人はみな他の人の心を理解することができ、
それゆえに相手の気持ちを大切し、
互いが助け合える関係を築きていけるのだと思います。
そのように悲しみを受け取ることが大事であると思います。
報道の加熱もありましょうが、
最近子を殺す親や、親を殺す子が目立ちます。
それは互いに悲しみを知らないからです。
鬼子母神という話を知っている人も多いと思います。
お釈迦様の時代の話で、鬼子母神なる彼女には千人の子供がいました。
その子ども達に他の人の子を食べさせて暮らしていたのです。子を取られた母たちはみんな悲しみにくれ、
「なんとかしてください」とお釈迦様にお願いします。お釈迦さまは、神通力を使い、彼女が一番可愛がっていた一番下の子を隠します。
可愛がっていた子がいなくなって彼女は必死で子を探し歩きます。しかしどこにもいません。
聞き伝えでお釈迦様のもとにいると知った彼女は「私の子を返せ」と頼みます。そのときお釈迦様は
「あなたには千人の子がいるのに、
一人いなくなっただけで、悲しみにくれて、
その子を探し回っているのですね。
あなたに食べられた子の母親たちは、
たった一人の子どもしかいない者もいるのです。
その悲しみがあなたに分かるでしょうか。
今、子を失ったあなたであるならば、
母親たちが我が子を失った悲しみが分かるでしょう。
分かったなら、人の子を傷つけてはいけません。
そう約束できるのなら、あなたの子を返してあげましょう」彼女はしみじみと我が子を失ったことの悲しみを知り、
以後、子どもを守る神様となり鬼子母神といわれるようになりました。
こんなお話です。
悲しみを知った彼女は他の人の悲しみを知り、
知る事で相手の子を守る立場に身を置きました。
きっと鬼子母神は我が子を失ったときの悲しみを忘れず、
心に抱き続けているから、神様になれたのでしょう。
悲しみを知ることに勇気を持ちましょう。
そしてその悲しみを静かに心に抱きしめながら、人の幸せのために生きるのです。