法話

徳ある人生 5 徳を作る場所

家庭という場所

徳を作る場所は、すべてを学び取っていくという姿勢で生きれば、
どんな場所も徳を育てる場所であるといえますが、
特に一番徳を育てていく場所といえば、家庭でありましょう。

ご飯をいただくときに、手を合わせ「いただきます」という。
これは家庭でまず行われることです。

夫婦の関係や、父母としての在り方として、
子どもを育てるなかでの悩みや喜び。

家族に伝え残したい生き方や教え、
さまざまに、徳を育てていくための要因が家庭にはたくさんあります。

最近、亡くなられた男性で、
子どもさんから、次のように言葉をいただき逝かれた人がいました。

これも父としての徳の姿で、
おそらくその姿を子どもさんたちも受け継ぎ、自らの徳として輝かせていくと思います。

父はあまりゆっくりすることなく、ずっと働いてきた人です。

父とはあまり遊んだ記憶はありませんが、
父と一緒にいたのはいつも田んぼであったり、畑であったり、山の中でした。

酒をひかえ、自分の身体を考えて、いつも家族のことを考えていました。

小さい頃、あまり口数の多くない父に何か相談する事に
プレッシャーを感じたりしましたが、父は私をちゃんと見ていてくれて、
短い言葉で的確なアドバイスをしてくれたりと、
静かな中にも安心を与えてくれる、そんな人でした。

もっとああすればよかった、こうすればよかったという、
そんな思いは尽きませんが、今は父の娘で良かったと、感謝しています。

父に対する子の思いが書かれています。
静かで多くを語らないけれども、みんなをいつも見守っていてくれ、
働くことを惜しまない一生でした。
そんな徳の姿を、私も思い浮かべます。

長年、この家庭で共に過ごしてきた家族のみなさんは、
きっとこの父親なる存在に、多くの徳の姿を見てきたことでしょう。

奥さんもこんなふうに書いています。

人と人との出会いは長く暮らしてみて、初めて分かる事が多いものです。

主人とはお見合い結婚でしたが、
大変穏やかな人柄で、裏表のないやさしい人でした。

私の好きな日舞で遠くに出掛ける時には
「いっといで」と心よく送りだしてくれたやさしい主人でした。

そんな主人が病と闘いながらあっけなくこの世を去ろうとは、
夢にも思いませんでした。

今まで主人に教えていただいたことを守りながら、
いつの日か、私もそちらに行きましたら宜しくお願い致します。

さようなら。

立派な夫としての姿が思われます。
家族という場の中で、長い時を経ながら、多くの徳を学んでこられたと思います。

家庭が、ただ食べ、寝て、生活するのみの場ではなく、
共に生かし合い支え合いながら、徳を学ぶ場にしていくことが、
また家庭を和やかに幸せな場にしていく方法でもありましょう。
それは徳が、幸せの輝きであるからです。

またそんな生き方をされた方は
「死後、光輝く世界へ昇っていくのだ」とお釈迦さまが言われているように、
この男性もきっと光の世界へ帰っていったことでしょう。

徳のことについて3回にわたりお話をしてきました。

徳と言われても具体的にどうすれば徳を得られるのかと迷ってしまいますが、
今回のお話で、徳の姿や、その特徴、そして徳を得る方法や、徳を育てる場所など、
お話しさせていただきました。

どうぞ、徳を軽く見ずに、重んじながら自らの心に、
この徳を育てていってほしいと思います。

タイトルとURLをコピーしました