先月は心と身体の関係や、心の存在の大切さをお話し致しました。
そして心と身体は互いに影響を及ぼしあっているというところで、お話を終えました。
その辺から続きの話をしていきます。
心の思いが身体の健康に影響を与える
先月の終わりに、江戸時代の志賀瑞翁の話をしました。
「気を長く持つ」と、
その心の思いが身体にも影響して身体の負担を軽くして長く生きられ、
逆に「気が短い」と
その心の状態が身体にまで及んで、気の短さが身体に重荷になって、
身体を長く使えなくしてしまうという話でした。
一般的には身体が健康なときは心も生き生きしていて、
病気のときには心も病んできます。
心がストレスなので病んでいると、
やがて身体にまで影響してきて何かしら身体に悪い影響を及ぼしていきます。
胃潰瘍や最悪の場合がんにかかるときもあるかもしれません。
ですから心を回復させ、心が健康になってくると、
身体にまでその心の力が影響し、健康になってくるといえましょう。
身体の健康を考える場合には、食事、運動などに心がけるばかりか、
心のほうにも気を配り、あまり精神的負担がないようにする
ということが大事になります。
また、身体のほうばかりに気を配って、心を置き去りにしてしまうと、
やがて健康を害するということもあるのです。
日ごろの生き方を正して、心にも気を配っていることです。
心と身体は互いに影響しあっている証拠です。
正直な心
江戸時代の前期に活躍した天海(てんかい)というお坊さんは、
104才まで生きたと言われていますが、将軍家光に長生きの秘けつを聞かれたところ、
こう答えたといいます。
正直、粗食、日湯(にっとう)、陀羅尼(だらに)、
ときどきご下風(かふう)あさばさるべし
まず正直をあげています。これは心の状態を表しています。
正直は、心の不安をのぞき、また心安らかに生きられるコツなのです。
嘘をついていると、いつも心に負担があり、重荷を背負っているようで、
それがやがて身体に影響して、病気になりやすくなるのです。
松原泰道という臨済宗ではかなり有名なお坊さんがおられました、
100才ぐらいまで生きて、亡くなるまで教えを伝えた方です。
縁あって、松原さんのお話を何度も聞きました。
その話の中に、がんにかかり、入院生活をしていたお坊さんの話がありました。
ある日、その和尚さんの所にお見舞いにいくと、
奥様が「和尚さんにはがんであることを内諸にしてありますので・・・」
と言われ、病室に入りました。ベットで寝ている和尚さんに、早く良くなるようにというお話をしていると、
その和尚さん、「松原、ちょっと近くに来い。内緒の話がある」といいます。内緒の話とは、
「俺はがんでもうあまり生きてはいられない。このことは女房には黙っておいてくれ」
というのです。そのとき松原さんは「分かった」という返事をして、
奥様にもこのことは内緒にして帰ってきたといいます。その後、和尚さんが亡くなって、
松原さんが葬儀に参列したときに、奥様に
「実は和尚さん、がんであることを知っていて、
それを奥様には内緒にしておいてくれと言われていたんですよ」
と語ったそうで、そのとき奥様が
「そうでしたか・・・。守られていたのは、私のほうでしたのね」
と、涙したというのです。
そんな話を聞いたことがあって、とても印象的だったので今でも覚えています。
これは一つの美談でありますが、
一般的に、互いに真実を隠しているというのは、辛いことです。
恐らく心にストレスがたまり、
正直に真実を語って、余命を「ありがとう」の思いで過ごし、
最期のお別れをちゃんとしておいたほうが、私は良いと思います。
「長い間お世話になったなあ」「いえ私こそ、ありがとう」
と言って、お別れの涙を流す。
そのほうが、心の負担は軽く、安らかな思いを多く持てるような気がします。
正直さとは少し離れる話であるかもしれませんが、
心素直に、正直に暮らした方が、身体にもいい影響を及ぼしていくということです。
食事とリラックスについて
正直さを言いましたが、
さらに健康であるためには、粗食がいいといいます。
今でいえば食生活に気をつけるということです。
バランスの取れた食事を、決められた時間に、よく噛んで食べるということです。
ある医師(新谷弘美)は健康と長寿の原点を5つあげています。
食事、水、排泄、運動、休養、そして精神的な充実感です。
身体の健康には、毎日取る食事が結構、健康を左右させているようです。
私は少し腸が弱かったので、玄米に代えてから、少し腸も元気になりました。
医師によっては「水を取れ、取るな」、「塩を取れ、取るな」、
「朝食はちゃんと取れ、いや朝食は抜いたほうがよい」とさまざまで、
要は自分にあった食生活をすることが大事になると思います。
3番目に日湯をあげています。
これはお風呂に入ることで、身体を温めろということです。
現代でも、体温をあげることが健康を維持するための大切な要因になっています。
今は低体温の人が多いようで、体温が35度代の人もいて、
35度くらいが、がんが一番発生しやすいようです。
昔は風邪をひくと、お風呂に入らないようにといいましたが、
今では風邪の初期であれば、お風呂に入って身体を温め、
ゆっくり休養を取った方が良いようです。
体温は免疫と関係していて、
体温が高いと免疫力がアップし、病気と闘う力がでてくると聞いています。
4番目は陀羅尼です。これはお経を読むことです。
一般の人は、お経はあまり縁のないことかもしれません。
でもここには2つのことが関わっていると思われます。
1つは大きな声を出すということです。
本を朗読したり、新聞の記事を声を出して読むと、ボケないといいます。
カラオケで大きな声を出して歌うのもよいのです。
もう1つは信仰心(信心)を持つということでしょう。
お経はお釈迦さまの言葉を記しています。
そのお釈迦さまを尊い方と信じ、尊敬してお経を読むのですから、
読めば読むほど、尊敬の念を養え、穏やかな思いになるので、
それが身体にまで影響して健康を保てるわけです。
最後はご下風(かふう)です。
これは下の風ですからオナラになります。
オナラを我慢していると、結構お腹に負担になります。
言い方が適切ではないかもしれませんが、
オナラが気持ちよくでたときには、お腹もすっきりとします。
ここには、リラックスするのが良いということも含まれていると思います。
身体の健康は、大切な宝です。
この心という主人を乗せて、
この世という世界でさまざまな体験を積ませていただくのですから、
なるべく故障しないように、大切に扱うことが必要です。