ホーム > 法愛 4月号 > みにミニ法話

みにミニ法話

(275)「富と豊かさ」

冨を得て豊かになることは、とても良いことです。
この場合、富を持ち豊かに暮らす人を嫉妬して、妬んだりしないことです。
それは、自分の理想とする姿を否定してしまうからです。
否定すると、豊かにはなっていけません。

財を得る富ばかりでなく、富には心の富もあります。
財と心の富を得て豊かな人生を送ることが理想です。
そこで心の富とはなんでしょう。

「乞食のくれた手ぬぐい」という日本昔話があります。

ある長者の家に乞食が水を一杯欲しいとやってきました。

その長者の奥さんは、「けがらわしい」と言って、
その乞食を追い出してしまいました。

その様子を見ていた使用人の女性が、あまりにも可愛そうだと思い、
自分のご飯から乞食にあげるためにおむすびを作り、
水を持って、乞食の所にいってあげました。

乞食は喜んでおにぎりを食べ、水を飲み、満足そうです。
お礼にといって、汚れた手ぬぐいを一枚くれました。

使用人の女性は、その日も忙しく働き、流した汗をその手ぬぐいで拭きました。
長者の奥さんが使用人の女性を見て、腰を抜かすほど驚いたのです。

なぜかというと、その使用人の女性がとてもきれいになっていたからです。

奥さんの前で、もう一度その手ぬぐいで顔を拭くと、またきれいになります。
その使用人の女性は、実は色が黒くてサルのような顔をしていたのです。
それを、乞食がくれた手ぬぐいで顔を拭くと、色白の美しい女性に変わったのです。

理由を聞いた奥さんは村中の乞食を呼んで接待しました。

たくさんの乞食が集まって食事をしたのですが、誰一人手ぬぐいを持っていません。
そこでところかまわず、乞食を調べ、1人の乞食が手ぬぐいを持っていたので、
それをはぎとり、顔を拭きました。

すると奥さんは馬の顔になってしまったというお話です。

困っている人に、財と優しい思いを分け与える。
そうすることで、心の富は増え豊かになっていくといお話だと思います。

欲を出し、自分のみよかれという心では、心の富は築けません。
豊かさが失われていきます。教えられるお話です。