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みにミニ法話

(268)「花の心」

3月になると、信州でも花が咲きだし、
野辺に、小さな花をたくさん見つけることができます。
あまりにも小さいので、花を探そうと思わなければ見過ごしてしまう、
そんな花たちです。

白や紫、ピンク色をした花たちです。
そんな花を見ていると、心がとても癒されるのです。
そしてほほえましくなるのです。
花を見て、怒ったり不満を思う人は数少ないと思います。
花が無心に咲いているからでしょうか。

私はその花のほほえみの中に、仏様の姿を思い浮かべるのです。
それが形になって護国寺に、野の花観音という、観音様が37体、建ちました。

観音様があらゆるものに化身して、
たとえば、花の中にいらっしゃって、そのほほえみを私たちに投げかけている。
そう思うのです。

そして無心に咲いてはいますが、
何か私たちに大切なメッセージを投げかけているのではないかとも思えるのです。

護国寺の野の花観音様の一つ一つの観音様の写真を撮って、
それを葉書にし、花たちが何を語っているかを想像して、
そこに文字を入れ、絵ハガキ作りをしています。今までに10数枚ほど作りました。

以前作った絵葉書の中に、たんぽぽ観音と、二輪草かんのんがあります。
たんぽぽ観音には「あなたの幸せを祈っています」と書きました。
もう一つの二輪草かんのんには「この場所に咲いてやさしさの風を吹かす」です。

はたして、たんぽぽの花が、
「あなたの幸せを祈っている」というのは定かではありませんが、
しかし、きっとそのほほえみの中に、そんな祈りにも似た、
語らいがあるのではないかと思えるのです。

そしてもう一方の、「この場所に咲いてやさしさの風を吹かす」は、
花はその場所に咲いて、動くことができません。動くことができなくても、
その場所で一心に咲いて生きています。その姿を見た人が、
その生きる姿に感動されることもあるかもしれません。

そんな花の姿に、
「あなたのいる場所で、精いっぱい生きなさい。
 その一生懸命生きる姿が、周りの人たちを幸せに変えていくのです」
というメッセージを読み取ることもできましょう。

野辺で出会った花たちから、このみにミニ法話を読まれた皆さんは、
どんな生き方を、どんな言葉を受け取るのでしょう・・・。