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法華経の詩

法華経の詩(94)

提婆達多品 第十二(1)

そのとき 仏 世尊は
もろもろの求法者に語った

私は
かつて数えることもできない昔
法華経を求め 退転することがなかった

この上なく完全な「さとり」なる
阿耨多羅三藐三菩提
(あのくたらさんみゃくさんぼだいしん)
に 到達したいという 誓願をたて
ひるむことがなかった

当時 私は 王国と統治する国王であった
長い間 統治をしたが
その統治は 正義のためであり
享楽のためではなかった

そして
我欲を捨て 物惜しみを捨て
彼岸に至るための修行に専念した

さらに すぐれたさとり得るための
教えを聴くために 王位を長子に譲り
四方に教えを求め歩き
鈴を鳴らして 次のように布告した

私にすぐれた教えを授けてくれる人
その意義を説明してくれる人がいれば
私はあなたの奴隷にでもなる

そのとき その布告をきいた
ひとりの聖仙が
私に このように語った

大王よ
最も勝(すぐ)れた教えを示す
「正しい教えの白蓮」なる法華経という
経典があります
王よ あなたが
私の奴隷になることを承諾してくれれば
その教えを私がお聴かせしましょう と