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法華経の詩

法華経の詩(66)

化城喩品 第七(8)

大通智勝如来(だいつうちしょうにょらい)
である仏 世尊は 
苦しみの原因を解き明かした後に
その苦しみを取り除く教えも説いた

この世における迷った念(おも)いである
無明(むみょう)が 苦しみの原因なのだから
この無明を脱して 正しく生きる智慧を得るのだ

この正しい智慧を得ると
生活活動としての行(ぎょう)を
正しく 見極めることができる
次に 正しい行のために 対象を識別する
正しい識(しき)を得ることができる
正しく対象を識別することができると
対象には名前があったり 形があるが
この名色(みょうしき)を
正しくとらえることができる
正しい名色があるゆえに
それを認識していくための 六入(ろくにゅう)という
六つの感覚を 正しく使うことができる
それゆえに 触(しょく)としての対象に触(ふ)れ
その対象を正しく判断することができるようになる

正しい触があって どう受け取り思うかという
正しい受(じゅ)という作用が起こってくる
この正しい受があるために
その対象を 我欲を捨て冷静に受け止め
正しい愛(あい)を得ることができる

正しい愛ゆえに
目の前にある対象物を
正しい取(しゅ)として 我欲を離れ冷静にとらえ
悟り深い心を培うことができる

この正しい取があって
有(う)という 迷い誤った生き方を脱し
この世に今度は 人びとを救う慈悲の思いで生まれ
他の人びとの 老いと死の苦しみを
取り除く人となれる
無明を脱して 人々を救う正しい智慧は
何にも代えがたい 悟りという喜びの果実なのだ