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法華経の詩

法華経の詩(45)

薬草喩品 第五(4)

世尊なる仏は
長老である魔訶迦葉(まかかしょう)に
続けて告げた

私は心の平静を得たものであり
完全なさとりに到達したものである

この世とあの世とを
完全な智慧で知り尽くしている
一切を知るものであり
一切を見るものである
道を知るものであり
道を開くものであって
道を説くものである

ゆえに
人びとよ そして天の神々よ
私の教えを聞くために 私に近づけ
あなたがたにさとりの道をしめそう
仏なる私は
聞くものの努力と根性の異なるのを知って
数多くの人を満足させる物語を語り
それによって人びとは
現世において 安らかな思いになり
死後は 良い運命に生まれるであろう

そして それぞれの運命に応じた
さまざまな体験を得 その体験を享受する
さらには 仏の教えを聞き
その教えによって 心のわだかまりを祓い
それぞれの能力に応じ
それぞれの境遇に応じ
それぞれの体力の応じ
しだいに 仏の教えに染まっていく
しだいに 仏の道に入っていくことになるのだ

仏こそ ここかしこに生い繁る
雑草や樹木の大小が 手に取って分るように
あれこれの運命をたどる人間の
いずれが劣り いずれが優れ
いずれが中くらいであるかを
ありのままに 観察するのだ