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法華経の詩

法華経の詩(6)

序品 第一(6)

文殊よ
私 弥勒はここにみなと共にあって かの国土に
  道を求める 多くの人たちがいるのが見える
かれらはそれぞれの力に応じて
悟りを求め えようとしている

ある者は清らかな布施心をつちかい
この上なく尊い 仏の乗り物である
知恵をえようとしている

また多くの王があらゆる財を捨て
褐色の衣をまとい 髪を剃り ひげを剃って
仏に近づき 心の安らぎをえんと
仏の優れた教えを尋ねるものもある

菩薩でありながら修行者となり
独り静かな所に住み
仏の教えを繰り返し唱えては
その意をさらに深めようとする者もある
あるいは欲を去り 自我を抑えて
五つの神通(じんつう)をえる者ある

ある者たちは坐を組み 手を合わせ 喜び満ちて
一千の詩を作り唱えては 仏をほめたたえている
前世を知り 知恵深く
悟りを求める志(こころざし)の高い者たちは
仏に教えを願い
その教えを自分のものにしている

仏子(ぶっし)としての禅定と知恵を持つ者たちは
さまざまな例話や 譬(たと)え話を使い
数え切れないほどの人びとに教えを説き導いている
それはあたかも 法鼓(ほっく)なる
太鼓を打ち鳴らすかのように 法(教え)が響き渡る

この法鼓には 二つの力があり
一つは天鼓(てんく)としての正しい教えの太鼓で
二つは毒鼓(どっく)なる 邪を破す太鼓だ
この教えの太鼓を打ち鳴らし 摩軍を蹴散らして
正しい法を 世に説き広めている