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しきたり雑考

(1)ひな祭り

今月から「しきたり雑考」として、
特に日本のしきたりについてお話ししていきたいと思います。

第一回目は「ひな祭り」です。

ひなとは漢字で「雛」と書きます。
意味は「おさなご」です。

特に女の子のお祭りで、家に男の子ばかりだと、このお祭りはしないかもしれません。

旧暦ではこのあたりに桃の花が咲くので、「桃の節句」ともいいます。
その意味もあって、桃の花を飾りますが、この桃の花には邪を除く力があるのです。

江戸時代には、桃の花を浸したお酒を飲むと、
百病を除くという習慣があったようです。

また中国では桃の木は悪魔を打ち払う神聖な木とされ、
飾るようになったとも言われています。

桃の力は中国から伝わってきたという説ですが、
日本の古事記には亡くなったイザナミノミコトが夫であるイザナギノミコトを
黄泉(よみ)の国で追いかけてきたとき、
桃を投げて救われたというように記されていますから、
日本から中国に伝わったとも考えられます。

昔は紙でひな人形を作り、祭りが終わると川に流しました。
人形に自らの汚れを託して流し、幸せになれるように祈ったのです。

これも神道の水で禊(みそぎ)をし、身体を清めるところからきているように、
私には思えます。

昔はひな人形を野辺や川にもっていき、その景色を人形に見せたようです。
そのとき持っていったお菓子が「ひなあられ」です。

このひなあられは、色がついていますよね。
白は長寿や純潔を表し、赤は魔除けで、緑は健やかな成長を表しています。
菱餅(ひしもち)と同じです。
また赤は桃の赤、白は白い雪、緑は春の芽吹きを表しているともいいます。

ハマグリをお吸い物でいただくのは、一対の貝がらが、ぴったり合うことから、
良縁を願い、白酒(しろざけ)は体を清め、ちらし寿司はエビなどを載せて、めでたさ、
すなわち幸せや豊かさをお祝いするのです。

それぞれに深い意味があるのですね。

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