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仏事の心構え(128)

仏像の見方について 8 如来6

今月は「薬師如来」のお話を致します。

薬師如来は「万病を治し、衣食住を満たしてくれる」という働きをし、
普段は東方の浄瑠璃世界に住まわれていると言われています。

阿弥陀如来が西方の極楽浄土ですから、逆の方角になりますね。

東方の浄瑠璃世界に住まわれているので正式の名は、
薬師瑠璃光(やくしるりこう)如来といいます。

浄土とか極楽というのはよく聞きますが、
浄瑠璃世界というのは、あまり耳にしませんが、そんな天の世界があるのです。

薬師様は修行時代に12の大きな願いを持ち、
それを成就して如来になられたといいます。

その中の7番目に
「人びとの病気を治し、心も身体も健康になれる」という願いがあって、
今生きている人びとの救いとして、ずいぶん信仰されたようです。

ですから、薬師様の名前を取って薬師寺というお寺もたくさんあります。
有名なのは奈良の薬師寺です。

姿の特徴として薬壺(やっこ)という薬の入った壺を左手に持っていることです。
手の印としては右手が怖れを無くす「施無畏印」(せむいいん)で、
右手が願いを聞き届けてくれるという「与願印」(よがんいん)で、
釈迦如来とまったく同じ姿です。

ただ薬壺を持っているので、区別がつくくらいです。

もし薬壺が無くなってしまうと、
どちらが釈迦如来で、どちらが薬師如来は分からないかもしれません。

さらに判別すれば、薬師如来の光背には
六体ないし七体の小さな仏様(化仏・けぶつという)がついているのが特徴です。

また脇仏が日光菩薩と月光菩薩であるので、脇仏でも判別ができるかもしれません。

あるいは印に親指と人差指を曲げている形(三界印・さんかいいん)を取っていれば
薬師如来と断定できます。