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仏事の心構え(121)

仏像の見方について 1

今月から「仏像の見方について」というお話をしたいと思います。

私のお寺の庭に、観音さまとお地蔵さまが建っています。
昔、どこかのおばあさんがお参りにきて、お地蔵さまの前で「ナンマンダ。ナンマンダ」と唱えています。

「ナンマンダ」は「南無阿弥陀仏」ということですから、
お地蔵さまの前で阿弥陀さまは違っていると思うのですが、
そのおばあさんは何の迷いもなく「ナンマンダ」と唱えます。

お地蔵さまには「おんかか びさんまえいそわか」という真言があるので、
そちらのほうをお唱えしたほうが良いと思ったのですが、
その迷いのないお参りに、禅的には、すがすがしさを思いました。

また私のお寺には野の花観音といって、野の花をイメージして作った観音さまが、
野の花観音さまを中心に、34体ほど建っています。

その観音さまを、どなたかが間違えて、
「お地蔵さまが何体も建っているねえ」というのです。

「お地蔵さまでなくて観音さまなのに、分からないのだなあ」と思いながら、
話を聞いたこともありました。結構お地蔵さまと観音さまを間違えるのです。

お仏壇の中には、本尊さまを祭ります。
宗派によってお釈迦さまであったり阿弥陀さまであったりします。

禅宗は特にお釈迦さまを祭りますが、お釈迦さまと阿弥陀さまはよく似ていて、
どこが違っているのか分からず、阿弥陀さまを買ってお祭りしている家もあります。

どちらも尊い仏さまなので構いませんが、できるなら少し学んでいただいて、
どれがお釈迦さまで、どれが阿弥陀さまなのか。
どの方がお地蔵さまで観音さまなのかぐらいは区別でき、
またどんな働きをなさっているのかを知っていたほうが、よいのではないかと思い、
仏像の見方についてお話してみようと思ったのです。