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お釈迦様の生涯

デーヴダッタの反逆(その2)

イラスト・山中一正

デーヴダッタ(提婆達多・だいばだった)は
マガダ国の王子であるアジャセに
神通力を持って近づき
彼から信頼を受け大きな供養を受けていた

二人はこんな約束をかわしていた
王子アジャセが
父であるビンビサーラ王に代わって国をおさめ
デーヴダッタは仏陀に代わって教団の指導者になり
二人で世を支配しようとする計画だ

これを知っていた仏陀は日ごろ弟子たちに
世間的な欲望や
名誉欲が身を滅ぼすことを語っていた

それとも知らず自らが指導者になろうと
仏陀に隠居を迫ったデーヴダッタに
仏陀は戒めて言ったのだった
お前は人のつばきを食べて私服を肥やす愚か者だと

みんなの前で恥辱を受けたと思ったデーヴダッタは
仏陀を殺害する計画を立てた

仏陀が教えを説き終わって道を歩いている時
大きな石を崖の上から仏陀めがけて落した
石は不思議にも仏陀の前で砕け散り
小さな破片になって落ちた
しかし仏陀の足指に石の破片があたり
足指から少し血が流れた

これに失敗したデーヴダッタは
今度は凶暴な像を
托鉢をして街路を歩いている仏陀に放った
象は荒れ狂い鼻を挙げ両耳をさかだてて仏陀に迫った

仏陀は穏やかに心乱すことなく
思いの力と慈しみの思いで象に立ち向かった
象は仏陀の慈悲の思いに圧倒され
不思議にも仏陀の前でおとなしくなった

このことがデーヴダッタの仕業であると知れわたると
町中の人びとが彼を尊敬しなくなっていった